タイトルどおり、pixivなどで書いたざくアクSSの保管場所です。
内容に差異はありませんが、ショートショートにまとめられていた話などは細かく分けられています。
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「――今日もおひとりのようですな、メニャーニャ殿」
「……まさか、あなたのほうから声をかけられるとは。どうしたんですか、マーロウさん」
「まあ、どうしたと言われれば気分ですな。因縁もありますゆえ、あなたとはいろいろと話したいこともあるもので」
「因縁、ですか……変身グッズについて物申した際にも少し話はしましたよね?」
「そうですな。あの話を振り返っても、あなたはもう少しご自愛されたほうがよろしい、と思ってしまうのですよ」
「またそれですか……」
「言われ飽きましたかな?」
「……まあ、でも飽きるほど言われるくらい、気を遣われているということですよね」
「特に私はあなたの追い詰められた様子を間近で見ていますからな」
「……恨まないんですか? 私はあの戦いで多くのハグレの命を奪いました。その中にはマーロウさん、あなたの同志もいたかもしれない――いや、確か召喚士協会に自爆テロを仕掛けた方は、ケモフサ村の住人だったと聞いていますよ?」
「……その者はハヤサカと言います。むしろ彼には私が謝らなければならないと思っています。私が道を間違えなければ、彼も命を落とさずに済んだかもしれない」
「――ハヤサカさんだけではないでしょう。他にも多くの……」
「それを言い出せば、私とて過去の戦争であなたが属する帝都の人間の命を斬り捨ててきています。あなたに恨まれてもおかしくはない」
「っ……」
「――責任を一人で背負う必要などないのです。過去の所業も、恨みも、すべてが消えるわけではない。それでもお互いを知り、何を背負っているかを知り、手を取り合うことはできるはずです」
「いやぁ、いいこと言いますねー、マーロウさん♪」
「っ!?」
「プリシラ殿? あなたもお食事ですかな?」
「ええ、ご一緒させてもらっていいですか?」
「私は構いませんが……メニャーニャ殿?」
「……ええ、どうぞ」
「うーん、相変わらずの警戒心ですねぇ……では、お隣、失礼」
「…………」
「あ、マーロウさん。ケモフサ村の立地はすばらしいですね♪」
「ああ、いや、妖精王国とは、噂には聞いていたが……あなた方の手が入ってから、村も目覚ましい発展を遂げていますな……」
「水晶洞窟の水晶、パッポコ芋をはじめとする農作物、それぞれの売れ行きが好調なんですよ。特に水晶のほうは、雪乃さん提案のクリスタルグラスが大好評でして」
「ああ、あれは素晴らしい出来映えですな。私も二つ買わせていただきました」
「もうひとつはクウェウリさんの分ですか?」
「ええ、娘と一緒に大事に使わせてもらっていますよ。雪乃さんにもお礼を言っておきました」
「あはは、何よりです。それに彼女もこの世界でやりたいことを見つけたようですし、協力してあげたいですねー」
「それは随分と心強いことですな」
「マーロウさんは何かスポーツってされてませんでしたか?」
「いや、私は……剣の鍛錬と、ご存知の通り若い頃は演劇をやっていたもので。スポーツはこれといってですが、今言った二つの物事の関係で体は鍛え続けていましたよ」
「あー、なるほど。剣のみならず、演劇もある意味スポーツと言える、そういうことですか?」
「ですな。声を張り上げる必要があるし、舞台の上で派手な立ち回りもありますので」
「結構ハードなんですねぇ……」
「この歳になって再び昔の趣味に舞い戻るとは思いませんでしたが……思ったより非常に充実していますよ。特に今は劇場のみならず、メニャーニャ殿の協力もあって、名画座を設立するにも至りましたのでね」
「あ、設立経緯はお聞きしましたよ。なんだかんだお人好しですよねー、メニャーニャさーん?」
「…………」
「……赤くなっておられますな。あまりからかうのはやめておきましょう」
「いやあ、でも正直な印象としてもそうですよ。かつていがみあってた人に対して、すごく世話を焼いてるじゃないですか。帝都を納得させる交渉だって、簡単なことじゃないでしょう?」
「……それなりの地位はありますからね。その分、矢面に立たされて、あなたみたいな人の相手をさせられることも多いですけど」
「あーあ、やっぱり嫌われてるなぁ。でも、それってケモフサ村を私どもが抑えてるってことも大きいんでしょうねー。あそこ、帝都にも近いから」
「影響力を持ちやすい……ということですか」
「そうですね。実質的にマーロウさんも利用する形にはなってしまいますが」
「ああ、いや、私は構いませんよ。さっき言いましたとおり、妖精王国のおかげで発展が著しいものですから……ふむ、そういえばケモフサ村の買収も、妖精王国が帝都に貸し付けたお金でそのまま買い上げた、という話でしたな?」
「あの時の私、散々な言われようでしたねー。後で面と向かって話をした時は、かわいらしい表現に訂正されましたけど」
「ぐっ……! やっぱり性格悪いっ!」
「そうじゃないとやってられない部分もあるんですよー。メニャーニャさんだって思い当たる節、あるんじゃないですか?」
「……ないことはないですけど、あなたほどのものかどうかは」
「――二人とも、私より若いというのに、どうしてこうも恐ろしく感じるのか……」
「あ、マーロウさん引かないでください。まあ、私どものようなやりとりが向いている感じではありませんよねぇ……」
「向いていても困るというか、真似するとろくなことにならないと思いますよ……」
「まあ、でもですね。私は妖精王国を第一に動きますけど、相手をする人たちに損をさせてでもというつもりはないんですよ。ケモフサ村しかり、帝都しかり」
「……長期的にはどちらにとっても得になるような関係を築きたい、ですか」
「そうですメニャーニャさん。帝都にだって多くの人たちが住んでいますから、みんなで幸せになるのが一番じゃないですか。お金は幸せになるために使う、ヅッチーだってそう言ってます」
「……まったく、やはり私も見習わないといけないな、これは」
「ふふふ、劇場や名画座の新作、期待してますよ、マーロウさん。なんでしたら妖精王国がスポンサーを務めますので」
「おお、それはありがたい。その時はよろしくお願いしますよ、プリシラ殿」
「あと、メニャーニャさん」
「……なんですか」
「敵に塩を送るアドバイスと言いますか、ここで妖精王国に負けじと帝都もスポンサーに名乗り出るなどしてみてもいいんじゃないかなーと思いますよ? そのほうが競争にもなりますし」
「うっぐ……!」
「……いやはや、とんでもないバックアップ体制だ。これは本当に、スポンサーに恥ずかしくない劇を作らねばなりませんな」
「あはは、良い刺激になりますように♪」
「結局、掌で踊らされているような気がしますね……」
「踊り心地が良いのなら、それも悪くないのではないですかな?」
「そうでしょうかねぇ……」
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自己紹介:
ざくざくアクターズというフリーゲームの二次創作をやっています。ネタが思いつくかどうかは気まぐれなので不定期更新。
主な活動場所はpixivで、この場所はあくまでも保管庫として活用しています。
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