タイトルどおり、pixivなどで書いたざくアクSSの保管場所です。
内容に差異はありませんが、ショートショートにまとめられていた話などは細かく分けられています。
+ + + + + + + + + +
「はぁ……」
「ヘイ、ユー? 暗~い顔してマスネー?」
「んあ? なんだ、イリス嬢……またからかいに来たのか?」
「ソリャ、悪魔にとっちゃ格好の的ダゼ、この筋肉ダルマめ」
「なんだよ……ほっといてくれよ」
「てか、テーブルの上に並んでんのは、ナンダソリャ」
「……デーリッチたちからもらったマーブルチョコ一粒ずつと、ハピコから買ったチョコだな」
「ハァ? 買った?」
「どうせもらえないから……300Gで買いました」
「いよいよ末期ジャネェカ、オイ」
「だってもらえねぇんだから仕方ないじゃないっすか!? 俺だってバレンタインデーにまともなチョコもらいたいってずっと思ってますよ!?」
「現実は非情でアル」
「ちくしょー!!! てか本当、からかいに来ただけならどっか行ってくれよ!!」
「ドッコイ、ソウジャナイ。私はオマエに用がアル」
「はぁ? 用だって?」
「イエス。ホレ」
「…………は?」
「プレゼントフォーユー♪」
「…………」
「ってオイ、何か言うことあるダロ」
「………………………」
「オイコラ、何か言えっつってんダロ、良い匂いさせやがって……ン、匂い?」
――ぷしゅー!!
「オゥ……ディスイズベリーナイスビーフスメル」
「いやちょっと、落ち着いてる場合じゃないだろイリスー!!?」
「ナンダ、エステル。覗き見とは趣味が悪いナァ?」
「いや、マジで昨日言ってたこと実践したのかよ……って、話してる場合じゃなーい!!」
「ソウダナァ、とりあえずエステル、道具屋ボーイと参謀サンを呼んできてクレ。私はちょいとコイツを冷やすカラ」
「わかったー!! ベル君、マリー! ちょっと来てー!!」
******
「とりあえず具合は落ち着いたみたいだけど……まさかマッスルがオーバーヒートとはね」
「あー、マリー。私見てたけど、イリスは何も悪いことしてなかったよ?」
「ソウダゼー、帝都で買った高級チョコを渡したダケダゼ?」
「だとしたら向こうに免疫がなさすぎるんだな……いや、責められることじゃないけど」
「ガチで今まで縁がなかったみたいだしナァ、アイツ」
「けど、イリス。そもそもどうしてマッスルにチョコを渡そうなんて思ったんだ?」
「ンー? ただの好奇心ダヨ」
「それだけ!?」
「私が渡したらどんな反応しやがるカナって思ってサ。結果、方向性は予想通りだが、まさか倒れるとはナー?」
「悪い笑顔だ……」
「でも責められないよね……本当に渡しただけだし」
「ま、あんなことになったから結局手はつけられてないみたいだし、道具屋ボーイには言っといたケドナ。ヤツの枕元に置いといてくれって」
「なんか現実に帰ってこなさそうな気がするんだけど」
「それはそれで見ものダナァ?」
「おいこら」
「ちょっとーイリス姐さーん?」
「ハフン? ナンデスカー、ハーピーガール?」
「なんですかーじゃないですよ! マッスルに普通にチョコ渡したって聞きましたよ!? なにやってくれてるんですかー!」
「あれ、ハピコ怒ってんの?」
「だって恒例じゃないですかノーチョコマッスル! 今年なんて私にお金出してまでチョコもらおうとしてて、すっげえ面白かったのにー!」
「恒例ネェ、お約束とも言うナ。ハーピーガール、一つ教えてヤロウ」
「は? 何ですか?」
「約束っていうのは、破るためにアリマース♪」
「違うだろ!?」
「いや、悪魔らしい物言いだけど……」
「えー、だからってー! 次からはお約束展開になっても面白くならないじゃないですか!」
「――ソイツはドウカナ?」
「えっ?」
「私が渡したのは、帝都で選んだ高級チョコだ。今までろくな縁のなかったマッスルが、いきなりそんなものをもらっちまった」
「は、はあ……」
「あのチョコはもしかしたら、マッスルにとって禁断の果実になるかもしれないナァ?」
「禁断の……果実?」
「今回、高級チョコをプレゼントされた。となるともしかしたら次もまたチャンスがあるんじゃないか――これからのアイツはそんな期待を淡く抱くかもしれない」
「……ちょっと待って、私、イリスの言いたいこと、なんとなくわかったんだけど」
「私もだよ……随分と悪意がこもっているな」
「え、え、何? 姉御、エステル、どういうこと?」
「ハーピーガール。次にお約束展開が続くって言うのなら、ヤツは今後、期待を裏切られ続けることになるんダヨ」
「あ、言っちゃったよ……」
「うえぇ……イリス姐さん、それってすごいえげつないんじゃないっすかぁ……?」
「ククク、揃いも揃ってイイ顔するジャネェカ。だが、責められる謂れはない」
「……ただチョコを渡しただけで悪魔の真髄を見せつけられるとは思わなかった」
「フン、悪魔相手に弱みを見せるのが悪いのサ」
「まあ、マッスルが迂闊というか露骨というか……」
「――そんなわけで、オマエラがちゃんとフォローしてやりナ」
「え?」
「お約束だって面白がるんじゃなくて、ちゃんとイベントを意識してマッスルを労ってやれってことダヨ。そうすりゃ私のやったことだって別にえげつなくもなんともネェヤ」
「……うーわー。いーりーすー」
「何だエステル、間抜けな声出しヤガッテ」
「だってー、なんかさっきまでの言動が一気に偽悪的になったっていうかー?」
「ナンダ、ニセモンじゃないほうがよかったカ?」
「いや、それはガチで困る」
「悪魔と思わせておいてこれか……染まってるね、イリス」
「アーアー、言ウナ言ウナ」
「ええ……なんなのこれ。三人とも、いつのまにそんなに仲良くなったんすか?」
「オマエの知らないトコロでイロイロ根回ししたんダヨ」
「おいイリス、その言い方はいかがわしいからやめろ」
「ナンダヨー、私とユーの仲ダロ、エステルー?」
「えっちょっ、もしかしてもうやることやって」
「やってねえよ!!?」
「アー、ハーピーガール。せっかくだから忠告ダ」
「はあ? 何すか、イリス姐さん?」
「おちょくったり文句言い合ったりって関係が楽しいのもわかるが――欲しいと思った時は何がなんでもその手に掴んでおくことダナ」
「は? ……いや、私、手っていうか羽ですから、掴めないんですけど」
「ものの例えダヨ。誰かにさらわれてからじゃ遅いゾって言ってンダ」
「は、え、ええー……?」
「ま、ユーがどうでもいいなら私もどうでもいいケドナ。んじゃ、私はそろそろオイトマするゼー」
「あ、イリス、私も行くー」
「オー、サンキューエステル♪ 参謀サン、ハーピーガール、マッスルによろしくナー」
「ああ、お疲れ様、イリス」
「いや、え、なんだったのこれ……?」
******
「……まったくもう」
「ナンダヨ、エステル」
「いや、さあ。冥王姫、だったはずだよね?」
「なんで微妙に過去形ナンダヨ」
「いつから恋のキューピッドに転職したの、イリス?」
「ハア?」
「いや、どうもハピコとマッスルの仲を後押ししたみたいに見えてさ。すーっかりお人好しじゃないの」
「ホットケ。それがハグレ王国のカラーナンダロ?」
「だからってさぁ……わざわざ偽悪的に振る舞うもんだから、余計に強調されちゃってるのよねぇ」
「ウルセェナー。それ以上言うとその口キスで塞いでやんゾ?」
「やめてよ!? ……あー、じゃあこれで許して?」
「ン? ……アレ、そのチョコ」
「義理でいいなら、って言ったじゃん? あ、でもちゃんとした美味しいヤツだから、たぶん」
「……いや、ありがたくもらうとするヨ」
「あら、素直」
「――義理チョコって言うけどヨ、義理堅いって言葉もあるワケだよナ」
「あ、そうだねー」
「……ウン、ちょっと大事に食わせてもらうゼ」
「おいおい、そんなに神妙になるなってば」
「ハハ、あらためてサンキューな、エステル」
「どういたしましてー」
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自己紹介:
ざくざくアクターズというフリーゲームの二次創作をやっています。ネタが思いつくかどうかは気まぐれなので不定期更新。
主な活動場所はpixivで、この場所はあくまでも保管庫として活用しています。
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