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タイトルどおり、pixivなどで書いたざくアクSSの保管場所です。 内容に差異はありませんが、ショートショートにまとめられていた話などは細かく分けられています。
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魔王タワー編にて、ハグレ王国が金の門突破~緑の門突破を果たしている最中の時間の、マオちゃん視点のSSです。「ババ~ン!とバトルだバンバトル!!」が好きすぎて、この場面で流れた際にも叫んでしまった思い出。
なお、こちらでは一箇所、pixivと違い、文章のかわりにスクリーンショットを載せております。

+ + + + + + + + + +

「くそったれ、アッブダーラめっ……!」
「――イーバ。しくじったようじゃな?」
「あ、ま、魔王様!? い、いや、あんたが無闇に出歩くからっ……!」
「責任転嫁はやめい。どうやらスポンサーに見限られたようじゃのう?」
「くっ……!」
「これではタワーの運営も長くは続かんな。結局、わしは暇な時間を過ごしただけじゃった」
「ま、まさか!!?」
「わしは故郷に戻らせてもらうよ。これ以上ここで無駄な時間を費やすわけにはゆかぬ」
「そ、そんな!? 冒険者の相手はどうするんです!!?」
「知ったことではない。おぬしが勝手にやればよかろう」
「そ、そんな無茶なー!!?」
「ではな、イーバ。世話になったことには感謝しておくぞ」
「ま、待ってください魔王様ー!!?」





















「……すまんな、イーバ。しばらくお前を騙すことになる」





******





 ――ゴオオオォォォォ……



「これでよし。これだけ目立たせれば、イーバもわしが帰ったと勘違いしてくれるじゃろうな……さて、と。隠れていても無駄じゃぞ、出て来い」



「へっ、聞いたとおりのちっぽけなガキじゃねぇか」
「こんなガキの相手で、アッブダーラさんも随分な大金をはずんでくれたモンだなぁ?」
「楽勝だろ、さっさと終わらせちまおう。そんなナリで魔王を名乗るとは、笑わせてくれるぜ」



「……絵に描いたような下衆どもじゃな。わしを子供と侮っている部分も含めて」
「おいおい、強がりは止すんだな。これだけの数に囲まれて、お嬢ちゃんひとりでどうにかなるとでも思ってるのか?」
「そっくり返してやるわい。その程度の数でわしをどうにかできるなど、片腹痛いわ」
「……おい、随分と生意気じゃねぇかクソガキ。大人を怒らせるとどうなるか……思い知れっ!!」
「――ふん」



「グハァッ!?」



「な、なんだと!? テメェ、何しやがった!?」
「何をしたじゃと? なんじゃ、今の動きも見えんのか。ただの回し蹴りじゃが」
「ふざけんな、蹴り一発であんな吹っ飛び方をするものかよ!!?」
「……この期に及んで信じぬのか。つまらんのう」
「いつまでも余裕ぶっこいてんじゃねぇっ!! 全員かかれっ!!」
「うるさい――消えうせろ」





 ――ボォンッ!!!!





******





「くくく……今回の魔王タワーの収益もなかなかのものじゃないですか。損失はあの宇宙人が被ってくれるし、これでますますアッブダーラ商会の繁栄は約束されることでしょうねぇ……」
「そうやって他人から搾取ばかりしてきたのか、この醜い豚め」
「んなぁっ!!? な、な、なんですかお前は!!?」
「魔王じゃ」
「ま、魔王!? だ、誰ですか、こんなガキをここまで通したのは!!?」
「ああ、通されてはおらん。押し入らせてもらった」
「な、なんですって!? え、衛兵は何を!?」
「立ち塞がった者はみんな寝ておるよ。いくら叫んでも、誰も助けには来んぞ?」
「そ、そんな馬鹿な!? こんな子供にやられただと!?」
「……やれやれ、お前もこの期に及んでわしを侮るのか。一度、力を見せつけねばならんようじゃな?」
「ち、力……ひぃっ!?」
「――わしがその気になれば、お前など一瞬で灰にできるのじゃぞ?」
「ひ、ひひひいぃぃ……い、いのち、命だけはお助けをぉ……!!」
「……本当に醜いのう、こんなやつに媚びねばならんかったとは。じゃが、それも終わりじゃ」
「お、おやめ、おやめくださいぃ……! なんでもしますからぁ……!」
「ふむ、なんでもするか。なら、ひとつ頼みを聞いてもらおう。そうすれば命は助けてやる」
「は、はい、何でしょう!?」
「――お前の資産を魔王タワーにすべて寄越せ。従わねば、燃やす」
「そ、そそそそそんなぁ!!? それでは商会が立ち行かなくっ……」
「言ったじゃろう、従わねば燃やすと。命が惜しくないなら構わぬが?」
「は、はひぃっ!! 部下に運ばせますぅっ!!!!」







「――これで全部か?」
「は、はい、積める物はすべて……!」
「よし、ではタワーのスタッフ用通路に搬入するのじゃ。これで当分は運営も持つじゃろう」
「あ、あの、これで私は助けてもらえるんですか……?」
「それなのじゃが――」



 ――ドゴォンッ!!!!



「ああああっ!!? や、屋敷の壁がー!!?」
「なんじゃ、やかましい」
「め、命令には従いましたよ!? これ以上何をなさるんですかー!!?」
「ふん、わしだって約束は破っておらん。言ったじゃろう、命は助けてやると」
「で、ですがっ……!」
「――命は見逃してやる。しかし、おぬしのこれまでの悪趣味さまで見逃すとは言っておらん」
「なんですってー!!?」
「さんざん弱い者から搾取してきた報いじゃ。しばし準備運動に付き合え」
「そ、そんなぁー!!?」
「光栄に思うがよい。おぬしはこの大魔王マオ様の力を、存分に目に焼き付けることができるのじゃからな?」
「やめて、お願いですからやめてええええええっ!!!?」





******





「ただいまなのじゃー」
「えっ? ま、魔王様ー!!?」
「帰られたんじゃなかったんですかー!!?」
「ああ、すまん。あれは最初から嘘だったんじゃ。皆の者、騙して悪かった」
「で、でも宇宙船が上がっていったのはみんな見てますけど……」
「あれ、自動操縦じゃからな。その気になれば無人のまま飛ばすこともできる」
「そうだったんですか……いや、しかし魔王様。イーバさん、とても落ち込まれてましたよ?」
「じゃろうなぁ……あいつには本当に悪いことをした。土下座をせねばならぬな」
「あ、いや、さすがに魔王様がそこまでしなくても……」
「いやいや、魔王のプライドなんて今回の非礼を詫びることに比べれば大したものではないよ。ところで、イーバは何をしておるのじゃ?」
「あ、そうでした! ご報告です! ついさっき、緑の門の武者魔王サネアツ様が突破されました!」
「おお、そうか! あの冒険者たちはもうそこまで進んでおったのか!」
「なので、今はイーバさんがレンタルスーツ宇宙勇者二十八号君を持ち出して迎え撃っています!」
「なんと、自ら体を張っておるのか……」
「魔王タワーの終わりに向けたけじめをつけなければならない、って言ってましたよ?」
「……ううむ。見た目によらず真面目な奴だったんじゃなぁ」
「あ、決着がついたようです! 宇宙勇者君から煙が出てます!」
「やはり荷が重かったか、しかしイーバもよくやった……ん、何か揉めておるな?」
「イーバさん、ピンク色のウサギさんに詰め寄ってますね」
「むう、なんか雰囲気が重くなりつつあるのう……これはいかん。おい、ちょっとマイクを寄越せ」
「あ、はい! こちらに!」



















******





「――改めてご苦労じゃった、イーバよ」
「魔王様……ちょっと本気でわけがわからんのですが……」
「落ち着け。ちゃんと説明はするが、その前に――」



「このたびは本当にすまんかった! この通りじゃ、許しておくれイーバ!!」



「ま、まままま魔王様!!? 土下座なんてみっともないですよ!!?」
「これくらいせねば気が収まらんのじゃ! わしのせいでえらい苦労をさせてしもうたからな!」
「あ、いや、でも……アッブダーラの件はわいの不手際ですし……」
「いや、放送ではああ言うたが、あれは最初から最後までわしの考えじゃ。イーバに非は一切ない」
「なんですって? ……あ、いや、その前に顔を上げてお立ちください、魔王様。そこまでされたらわいも怒れませんわ」
「許してくれるのか?」
「まあ……なんやかんやで、事態は良い方向に向かっとるみたいですし。それが魔王様のおかげやと言うなら、怒るどころか感謝せなあきまへんわ」
「……そうなるかどうかは、わしの話を聞いておぬしがどう思うかじゃな。では、聞いておくれ」





「――そもそも、アッブダーラ商会とはそのうち手を切るつもりじゃった」
「え、ええ?」
「サンサーラでは一番の富豪のようじゃが、町の人々の評判はすこぶる悪い。他者から利益を搾取して私腹を肥やしておったらしい」
「ああー……まあ、そうですなぁ。ただ結局、魔王タワーの運営にあたっては、金持ってる奴にスポンサーになってもらうのが手っ取り早いという判断やったんですが」
「一理ある。しかし、あのような者に媚びへつらうのは我慢がならん。これは魔王としてのプライドだけじゃなく、故郷の人間に対しても顔向けができなくなるからなんじゃがな」
「……誠実でありたかった、ということですか」
「そうじゃ。とはいえ、機会が巡ってくるのに随分と時間がかかった。わしに迫ってくる者たちが居なければ、わしも動くことができぬ」
「迫ってくる者たち……じゃあ、行動を決めたのはハグレ王国が登ってきた時ですか?」
「正解じゃ。その存在を知ってからは、あえてわし一人で町に出て情報を集めてみたんじゃよ」
「あ、もしかしてアッブダーラに魔王様の正体がバレてたのも、わざとやったんですか?」
「うむ。この見た目ゆえ、相手はわしを舐めてかかり、向こうから手を切ろうとするじゃろうと踏んだ。果たして、ことは見事なまでに目論見どおりに進んだ」
「そして今に至る、というわけですか……」
「――アッブダーラは評判以上にろくでもない奴じゃったよ。わし相手に暗殺者集団を仕向けおったし、黒いところとも繋がりがあったようじゃ。ま、返り討ちにしてやったがの」
「まあ、魔王様の実力なら屁でもないですやろねぇ……」





「しかし繰り返すが、わしが動いている間、そなたにはつらい思いをさせてしまったな。本当に……本当にすまんかった」
「いや、大丈夫です魔王様、話聞かせてもろて、だいぶスッキリしましたわ。まあ、今は今でちょっと引っかかる事がありますけど」
「なんじゃ?」
「いや、仰ってるハグレ王国の中に、七つ星のルフレを名乗るピンクのウサギがおったんですけど……ルフレ様は邪神アクサーイと相討ちになって、十年前に亡くなられたはずなんですわ」
「なんじゃと?」
「せやからアンタは何者やと。なんの理由があって英雄の名を名乗っとるんやって話をしたんですけど」
「……偽者じゃと言うのか?」
「正直その可能性は高いと思いますけどねぇ……」
「……調べてみる必要がありそうじゃな。のう、イーバ。英雄ルフレの特徴は知っておるか?」
「え? あー、えーと……本人の実像はよくわかりませんわ。ただ、宇宙船は有名です。ビッグパパイヤ号って言うんですけど」
「ふーむ……」
「魔王様?」
「……イーバ。そのビッグパパイヤ号の消息について、至急、詳細を調査せよ。もしルフレを名乗る者が本人であるならば、近年で目撃例があるはずじゃ」
「あっ、そうか! わ、わかりました、すぐに調査します!」





「――その間にわしは、魔王スカイツリーでハグレ王国を出迎える準備にかかるとするよ。あやつらは間違いなくわしの元にやってくる」
「って、えらい自信満々に言い切りますな? まあ、もはや緑の門まで突破した連中ですから、濃厚でしょうけど」
「まあ、イーバならそういう感想になるか。じゃが、わしは町に調査に出たときから確信しておったぞ?」
「なんですって?」
「ハグレ王国の連中も町で見かけたのじゃが……実を言うと、わしでも目玉が飛び出るレベルのメンバーもおったからな」
「はあっ!? いや、マジですかそれ!?」
「マジじゃよ。なにせ、わしの故郷のだんじょん村において伝承のみで語られておった存在が、普通に町を歩いておったのじゃからな」
「え、ええと、理解できる気がしませんけど、一応、例を挙げてもらえます?」
「うむ――わしと同じ六大魔物の一柱たる地竜に、冥界の王の娘である手繰る魂のイリス、それに星の守護者マリオン……そうそうたる面子というものよ」
「ほげぇ……」
「――だから、このような面子と戦う機会がやってくるとあっては、心弾ませずにはおれぬ。最初から帰る気は全くなかったんじゃよ」
「せやったんですか……」





「イーバよ、改めて感謝するぞ」
「はい?」
「随分と長く暇を持て余してしまったが、待ち続けた甲斐があった。ようやくわしも、大魔王としての役割を果たせそうじゃ」
「あー、いや、でも結局、わいはそんなに大層なことはしてないような」
「謙遜はいらんぞ。おぬしがスカウトに来なければ、わしは今でも貧乏冒険者をやっておったじゃろうからな。こうして仕事をくれた上に、どうやらわしの元にやってくる敵は、わしを最高に楽しませてくれそうじゃ」
「……わかりました。魔王様、ご武運をお祈りします!」
「ありがとう。ではイーバ、ルフレの調査はよろしく頼むぞ?」
「はい、お任せください! 良い結果を持ってこれるように頑張ってきます!」
「ははは、その意気じゃ! 行ってこーい!」
「はいな! 魔王様もお気をつけてー!」








「……さて、ハグレ王国よ、早く上がってくるがいい。どれだけわしを楽しませてくれるのか、わしは大いに期待をしておるからな! あはははははっ!!」
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ざくざくアクターズというフリーゲームの二次創作をやっています。ネタが思いつくかどうかは気まぐれなので不定期更新。
主な活動場所はpixivで、この場所はあくまでも保管庫として活用しています。
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