タイトルどおり、pixivなどで書いたざくアクSSの保管場所です。
内容に差異はありませんが、ショートショートにまとめられていた話などは細かく分けられています。
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「はっ、はっ、はっ……」
「――ふう。今日もお散歩お疲れ様でした、ベロベロスさん」
「ヘーイ、グッモーニン、ゼニヤッタ」
「あら、イリスさん。おはようございます」
「!」
「え、ベロベロスさん?」
「うー、わんわんっ!!」
「オゥ……私が気に入らないか、ユー?」
「がるるるっ……!」
「ベロベロスさん、おやめくださいまし! イリスさんは何もしていませんわよ?」
「ノー、止めてやるなゼニヤッタ」
「え、でも……」
「ホントに優秀な番犬ダナァ、オマエは」
「うー……!」
「どういうことですの?」
「――仕方がないんダ、コイツが私に吠えるのは。私の本質ってヤツをしっかり理解してやがる」
「イリスさんの、本質?」
「そもそも、生き物の業や悪意といったものから成り立っている存在だからナ、私は。どう取り繕ったって、コイツはその悪意を嗅ぎ取っちまうんだろう」
「……そうは言われましても、何もしないうちから吠えられるのは、気分の良くないことではないのですか?」
「言ったろ、仕方ないって。無理になだめちまったら、番犬として機能しなくなる――侵略する側にとっちゃ、少しでも好都合なことだがナ?」
「ばうわう! ばう!!」
「フフン、やるか? ちょうどオマエの力は私にとっちゃ侮れないからナァ?」
「イリスさん、おとなげない行為はおやめくださいまし……」
「クク、犬っころに本気になっちまうのはみっともないカ?」
「ぐるるるっ……!」
「オー、コワイデスネー。これ以上脅しかけられないうちに、退散するとしますかネー♪」
「すみません、イリスさん……」
「謝るなヨ、ゼニヤッタ。誰も悪くネェンダカラ。邪魔したナー」
「あ、はい……もう、ベロベロスさんったら、落ち着いてください」
「きゅーん……」
******
「――ってなコトがあってダナ」
「それでなんで私の部屋に来るんですかね、イリス様」
「しかも私まで呼ぶって何よ。嫌われ者仲間でも作りたいわけ?」
「ハハ、メニャーニャ次第で好かれるようになるかもしれネェゾ、ミアラージュ?」
「……私次第、と言いますと。もしかして、薬をお求めで?」
「イエス。薬の効果の中に猫化するヤツがあったダロ?」
「ものっすごいベタベタな方法じゃないの……」
「というか、試したことはないのカ、ユー?」
「私は自力でもふもふしたいのよっ……!」
「自力で、カァ。正直、私よりもよっぽど望みがありそうな気がするんだがナァ」
「なによ、イリスもベロちゃんをもふもふしたいの?」
「それはご想像にお任せシマース。ただまあ、打てる手は打ってみようゼってコトダヨ」
「それで私の出番ですか……まあ、作った薬は基本的にある程度キープしていますので、すぐに用意はできますよ」
「え、そうなの? ……猫化や髭はともかく、スーパー化も?」
「あ、いえ、あれは効果が大きいからなのか、同じ材料を用意してもなかなか上手く再現できないんですよ」
「そう都合よくはいかないってコトカ……マァイイヤ。猫化の薬はあるんダナ?」
「はい、こちらです」
「サンキュー。レッツトライウィズミー、ミアラージュ♪」
「はいはい……んくっ」
「――見事な効き目だニャン♪」
「ゾンビでも悪魔でも生えてくるのね……」
「マァ、神サマにだって生えてくるんだし、そこまで不思議でもないダロ?」
「あー、それは確かに……」
「お気に召しましたか?」
「イエース、サンキューメニャーニャ♪ さて、これであの番犬はどういう反応をするかナァ?」
「わ、私が先に行ってくるわっ! イリスは待ってなさい!」
「ホワイ? 一緒に行かないんデスカー?」
「もともとあんたも私もベロちゃんには警戒されてるんだから、二人そろって近づいたら薬の効果も台無しになるかもしれないじゃないのっ……!」
「あー、かもしれないナ……ちょっとユーが気張りすぎな気もするが」
「ほっとけっ! じゃ、じゃあ行ってくるからねっ!」
「グッドラーック。……よっぽどもふもふしたいんだナァ、ありゃ」
「そんなに触り心地が良いものなんでしょうか……?」
「ユーは触ったことないのか、メニャーニャ?」
「あまり積極的には……別にベロベロスさんが嫌いというわけではないんですけど」
「ナンダソリャ、ペットにまで妙に距離を取った言い方シヤガッテ」
「苦笑いはやめてもらえませんかね……にしても、あなたはあなたで、ベロベロスさんに好かれたいんですか、イリス様?」
「まあ、こんなことやってるんだから、そうかもしれないナ。成り立ち方からして無茶な試みではあるんだが」
「……そもそも生き物の悪意によって成り立ってるというか、比喩ではなく悪意が服を着て歩いている、そういう存在ですよね、あなたは」
「だが、それでも私は私ダ。私の振る舞いたいように振る舞う。惚れた相手に好かれるための努力だって惜しまないサ。ナァ、メニャーニャ?」
「っ――!!」
ドゴンッ!!
「イッテェ……!! な、殴るコトネェダロ……」
「うるさいですっ!!」
******
「にゃ、にゃーんっ!」
「わう?」
「ほ、ほら、わんこっ! あんたのためにかわいくなってきたわよっ!」
「わう……」
「ど、どうしたの? ほら、おいでっ! にゃーん!」
「きゅーん……」
「なんでよっ!? これでも駄目なのっ!?」
「……案の定だニャー。気張りすぎだって言ってるダロー?」
「あ、イリス!? 待っててって言ったのに!?」
「ヘーイ、ベロベロース。ユーのために私もかわいくなってきたデスヨー?」
「うー、がるるるっ!!」
「って、私も駄目デスカー……というか、取り付く島もネェって反応ダナ……」
「のっけから唸られてるわね……」
「ホレ、尻尾フリフリー♪」
「わうっ!!」
「アイテッ!? コイツ、本気で振り払いやがッタ……」
「……いや、ちょっと。いくらなんでも嫌われすぎじゃない?」
「本気で同情した声出してくれるな、ミアラージュ……今更だけど、尻尾にも痛覚っていうか神経通ってるんダナ」
「いや、それはわりとどうでもいいけど……はーあ、作戦失敗かぁ」
「こーらー! ベロベロスーっ!!」
「わうん!?」
「あ、デーリッチ」
「オゥ、国王様のお出ましデスカー?」
「ミアちゃん、イリスちゃん、今回ばかりはすまんでちっ……!」
「オイ、えらく下手に出てるナ?」
「だって二人とも、メニャーニャちゃんの薬を飲んだんでしょう? そうまでしてベロベロスと仲良くなろうとしてるのにっ……!」
「ウーン、まあミアラージュはともかく、私の場合は仕方ないというか、ナァ」
「仕方ないで済ませたらいかんでちよっ!」
「とはいえ、無理に動物的本能を矯正しようとするのも、良くないかもダゼ? むしろ番犬としては正しいはずダ」
「だけどイリスちゃんだってハグレ王国の一員なんでちっ! こうやって溶け込もうとする努力を否定してほしくないんでちよっ……!」
「あ、ちょっと!? 泣くことないじゃないの!?」
「オゥ……参ったナァ。コイツはどうすりゃイインデスカー?」
「……きゅーん」
「……オゥ? どうしたワンコ?」
「イリスに歩み寄ってる?」
「ぐずっ……ベロベロス、聞き分けてくれたんでちか?」
「無理に聞き分けなくていいって言ってんのにナァ……いや、しかしまあ」
「くぅん……」
「オマエ、大丈夫か? 私の本質、分かってんダロウ?」
「さっきまでとうってかわって、イリスの傍を離れようとしないわね……」
「……まあ、私だけじゃなくて、アイツにも歩み寄ってやってクレー。ホレ」
「きゅーん?」
「って、アレ?」
「それでも私のほうには来ないのっ……!?」
「ていうか、ええと、これは……イリスちゃんに特別に懐いてるんでちかね?」
「なんてことっ!?」
「イヤイヤイヤ、ナンダコリャ……ミアラージュのほうがよっぽど人が良いはずだけどナァ?」
「フォローがかえって切ないわっ……!」
「ここまで来るといっそ清々し……くもナイカ。まあ、デーリッチの喝が効いたのはどうかは知らないが、そのうちユーにも懐くんじゃないデスカー?」
「だからフォローはかえって切ないって言ってるでしょっ!」
「とは言っても、こうやって私にも懐くぐらいなんだからサ、そんなに遠い未来じゃないと思うゼ?」
「う、そ、そうだといいけど……ず、随分と持ち上げてくれるじゃないの……」
「クク、面白い反応シヤガッテ。ま、今日はそんなわけで私が堪能させてもらうゼー?」
「ベロベロス、イリスちゃんやミアちゃんとも、ちゃんと仲良くするんでちよー?」
「わうん!」
「オゥ、ナイスリプライ」
「私もちゃんと含まれてるのかしら……」
「アー、何度も言ってるが、ユーはもう少しリラックスするデース。隙を作れってのはそういう意味も含んでるんジャネェカ?」
「そ、そうなのかしら……」
「がんばるでちよ、ミアちゃん!」
「わ、わかってるわよ! 私だっていつか絶対もふもふしてやるんだからっ……!」
「だから気張りすぎるなって言ってんのにヨォ……まったく」
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自己紹介:
ざくざくアクターズというフリーゲームの二次創作をやっています。ネタが思いつくかどうかは気まぐれなので不定期更新。
主な活動場所はpixivで、この場所はあくまでも保管庫として活用しています。
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