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タイトルどおり、pixivなどで書いたざくアクSSの保管場所です。 内容に差異はありませんが、ショートショートにまとめられていた話などは細かく分けられています。
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プリシラ、ベル。
青い髪の二人の話。ザンブラコの海岸洞窟入口前で一悶着があったのを思い出して書きたくなりました。

+ + + + + + + + + +

「へいらっしゃい」
「こんにちは、キャサリンさん。オーダーいいですか?」
「はいよ。まあ、いつものやつかい?」
「はい。たこ天ください」
「やっぱりか。よく飽きねえな、プリシラさん?」
「ふふ、だってヅッチーが提案した特産品ですもの。いくらでも食べたいですよ」
「なんかプレッシャーを感じるなぁ……作ってるのはオレなんだが」
「あはは、もちろんキャサリンさんの腕前も信じてますよ。それに素材もいいんですよね、ザンブラコのタコでしたっけ」
「そうだぜ、評判がいいんだ。現地のたこ焼き屋のおっちゃんからも好評をもらってる」
「あ、その人って確かベルさんの養父さんですよね」
「らしいな。ベルは元気にしてるかってよく聞かれる」
「大事に思われてるんですねえ……そういえばベルさんとも一回話をしておきたいんだけどなあ」
「ん、なんでまた?」
「ちょっとわだかまりがありまして……あ、いた」
「わだかまり、ねえ。そういえばあんたってけっこう敵が多いよな」
「うーん、間違ってはいませんけどすごいストレートですね」
「否定はしないんだな……ああ、まあいいや。オーダーはたこ天でいいのか?」
「あ、すいません二人前にしてください」
「はいよ。すぐ持ってくから待ってな」



「――というわけでこんにちは、ベルさん。お隣いいですか?」
「ええと、話は聞こえてましたけど、どうしたんですか、プリシラさん?」
「まあ、一度落ち着いてお話をしたいと思ってて。少なくともベルさんは私への第一印象は良くなかったんじゃないかなーって」
「第一印象……あー、思い出してみればそうだったかもしれないなぁ」
「私自身とてもデリケートな時期で、そのしばらく後で戦争まで起こしてしまって、ほんとご迷惑をおかけしちゃったなぁと」
「ああ、いえ、気にしないでください。今はザンブラコも妖精王国と連携して、前以上に盛んになってるみたいですし……えっと、話の本題はこっちじゃないですよね?」
「ええ、そうです。ちょっと当時の海岸洞窟でのやりとりをね、振り返りたくなったんです」
「いきなりバリゲードなんて作られてるからびっくりしましたよ……あそこはザンブラコの人たちにとって馴染みのある場所のひとつですから」
「でも、私としては危険を排除するという選択肢を取ったつもりなんですけどね。……あの時の主張は今でも譲るつもりはありません」
「……あの時は海岸洞窟に向かうことが目的だったから、僕もけっこうムキになっちゃったところはありますけど。でも、仰る事は一理あると思います」
「ありがとうございます。ただベルさん、その時にあなたが言ったことも、ただの言葉ではないと今は思ってますよ?」
「へっ?」
「――危険に挑んで命の重みを知るのだと。そしてそれを受け継いでいくのだと。そんなことを仰ったでしょう?」
「あ、はい。……あの洞窟や、そこに住む大ダコの存在は、ザンブラコの人たちにとって本当に特別な存在なんです」
「……今思い出すとね、経験に裏打ちされた熱というのを感じるんですよ。ベルさんにとっても譲れない価値観なんだ、ってね。あの場面は本当に、ベルさんと私の真剣勝負だった気がします」
「最終的にはヅッチーに判断を委ねて、通らせてもらいましたけど」
「でも……その場面は戦争のきっかけのひとつになってしまいました」
「プリシラさん……でも、あなたはすごく頑張ってたんだなって、戦争が終わってからすごく実感しましたよ。だから、そんなに暗い顔をしないでください」
「……ありがとうございます。慰められちゃいましたね」
「いえいえ、どういたしまして」



「……それと。これは結果論になるんですが、あの時ベルさんたちが洞窟を調べたのは大正解だったみたいですね?」
「正解……ではありましたけど、とんでもない体験でした……」
「私は話に聞いただけですが、洞窟の最深部に巨大な次元の穴が空いていて、ザンブラコ近海の潮の流れを変えてしまっていたらしい、と」
「漁業が不振に陥ってはいましたけど……まさかそんなのが原因だったなんて、想像もつきませんでした。しかも大ダコまで吸い込まれそうになってましたし」
「最終的にベルさんたちが大穴を破壊したことで、大ダコさんも無事だったし、ザンブラコの漁業も元通り好調になったんですよね?」
「ですねー。また美味しいたこ焼きが食べられるようになって、ほっとしてます」
「評判いいみたいですねー。私も食べにいこうかなぁ」
「味は保証しますよ! ぜひ一度は食べにいってみてください!」
「あはは、心強いですねー。……で、話は戻りますけど。その次元の穴って、実は人工的に作られたものだったらしいですね?」
「……ええ。どうもシノブさんの手によるものだったみたいです。水晶洞窟で話した際に、あの海岸洞窟の大穴は実験だったと言っていたそうです」
「ますますとんでもないですね……ザンブラコの漁業にまで影響を及ぼすほどのものが、発展途上の技術だったとは。やっぱりシノブさんって天才なんだなぁ――良くも悪くも」
「本当ですね……あの人のもたらしたもので、悪いこともいろいろと起きてしまったわけで。ザンブラコのこととか、ハグレ連合軍の反乱戦争とか」
「ただ、ご本人も今は反省されてると思うんですよ。それを認めた上で、私はあの人のもたらした良い影響に、心から感謝したいんです」
「マナジャム、ですよね。今は妖精王国の特産品として有名になってますけど」
「……もともと私たち妖精はとてもひ弱な存在だったんです。ヅッチーは例外的に強くはあったけど、それでもマナ不足には悩まされていて。まして私なんかは、デーリッチさんにちょっと小突かれただけで吹っ飛んじゃうような、本当に弱い妖精だったんですよ?」
「そ、そうなんですか? 信じられない……今のプリシラさん、はっきり言って相当な美人なのに」
「あはは、ありがとうございます。それがまさにマナジャムのおかげで、なおかつ鍛錬に励んだ結果なんですけどね」
「すごいなぁ……今や妖精王国って帝都でさえうかうかしてられないぐらいの勢いがありますもんね?」
「ふふ、それはハグレ王国だってそうでしょう? ……シノブさんは本当にこの世界の妖精の歴史を良い方向に変えてくれた人ですから。彼女のやりたいことは、全力で支えてあげたいです」
「……あの人は、ザンブラコの大穴を実験と仰いましたけど。後に開催された次元ポータルには、ちゃんと活かされたのかなぁ?」
「どうでしょうね。ただ、次元ポータルが築かれたという事実も、歓迎すべきことですよ。雪乃さんが家族に会えたことは、その揺るぎない証明ですから」
「……利用して元の世界に帰ったハグレの人もいたんですよね。この世界に残って頑張る人もいる。それとは別に、帰りたいと思った人を帰してあげられる。その未来が現実味を帯びてきたってことですよね」
「世界を選ぶ自由が生まれる。その選択肢にはきっとこの世界も含まれる。……とっても支援したくなる、素晴らしい未来だと思います」
「そうですね……僕はなんだかんだでこの世界が好きだから、もっと魅力的に思われるように努力していきたいなぁ」
「お互いに頑張っていかないとですねー」
「はい。……プリシラさん、ありがとうございます」
「いえいえ、どういたしまして……あ、そうだ。ちょっとお願いがあるんですが」
「はい?」
「さっき、ザンブラコのたこ焼き屋さんの話が出ましたよね? せっかくですから、ベルさんの案内で連れて行ってもらえませんか?」
「えっ? ……え、えええっ!!?」
「うわ、リアクションがすごい……ご都合、悪いですか?」
「い、いえ、その、びっくりしてしまってっ……!!」
「ええー? ベルさん、ヅッチーとはよく遊びにいってるのに、私とはダメなんですか~?」
「あ、あああ、いや、そういうわけではっ!!? ちょ、ちょっと落ち着く時間をくださいっ!!」
「ふふ、はぁーい」
「すー、はー、すー、はー……ええと。はい、すいません。都合は大丈夫です、日にちさえ合わせれば……」
「ありがとうございます。ふふ、港町デート、楽しみにしてますよ♪」
「で、でーと……えと、がんばりますので、よろしくおねがいします……」
「あはは、そんなに緊張しないでくださいねー♪」
「は、はい……」
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ざくざくアクターズというフリーゲームの二次創作をやっています。ネタが思いつくかどうかは気まぐれなので不定期更新。
主な活動場所はpixivで、この場所はあくまでも保管庫として活用しています。
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