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タイトルどおり、pixivなどで書いたざくアクSSの保管場所です。 内容に差異はありませんが、ショートショートにまとめられていた話などは細かく分けられています。
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マリオンちゃんかわいい。そのに。

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 ――はぁ。相変わらず今日も売れないわね。
 売れないことに慣れてしまった自分がちょっと悲しくなってくるわ。勢いでお店提案しちゃったけど、正直言って王国の足を引っ張っている気がして申し訳ないかも。
 まあ、それでもここまで大きな文句を言われたこともないから、たぶんこれからも店を畳むことはないんだろうけど。売れないっていう事実はどうしても憂鬱になっちゃう。

「――もしもし? 曲がらないスプーンの店、というのはここであっているか?」

 ――え? ああっ!!

「ごめんなさい、ちょっとぼーっとしてたわ……あら? マリオンじゃない」

 店の看板を興味深そうに眺めている、紫色の長髪をなびかせる女の子。前髪だけは金色で左右に分かれているという、とても特徴的な髪型をしている。

「こんにちは、ヤエちゃん。なんだかとても気になる宣伝文句なのだが」

 私をちゃん付けなのは――ああ、おそらく雪乃が普段そう呼んでいるからか。

「ええ、ここは私のサイキック能力でも曲げられない超耐久スプーンを売っているお店なのよ?」
「超耐久、か。サイキック能力というのもなんだかすごそうだが……ちょっと試してみたくなったことがあって。ということでまず一本売ってくれないか」

 お、おおう。いきなり一本、ご注文入りました。

「はい、どうぞ」
「あ、これ、お金」
「はいはい。それで、試したいことって?」

「単純なことなのだが……曲げられないというのはどこまで本当なのだろうかと。……ええと、店先でやるのは迷惑行為か? 駄目ならやめておくぞ?」

「ああ、いや、曲がらないってのを売りにしてるから、問題ないわ。……あなたの試したいこともわかったし」

「そうか、ありがたい。では……ふんっ!!」

 ぐっ、ぐぐぐぐぐっ……。

「ふんんんんんんっ……!!」

 ぐぐぐぐぐぐぐぐっ。

「――ぜー、はー。す、すごいな……マリオンの力でも曲がらないとは……!」
「……相当力を込めたみたいね。でも、スプーンの勝ちね」

 思わずふふんと自慢の笑みが漏れてしまう。

「この曲線構造からすると簡単に曲がりそうなのに、ビクともしないなんて……一体どういう素材で、どういう加工をしているんだ?」
「ふふ、それは残念ながら企業秘密ね」
「うーん、ダメなのか……仕組みが分かれば、宇宙戦艦の修理に応用できそうな気がしたのだが」
「お、おおう、そこまで壮大な話に……」

「でもこのスプーンがすごいことに変わりはない。マリオンは気に入ったぞ! もう二本くれ!」

「え、も、もう二本って、合計三本よ!? いいの!?」
「ああ、三本をローテーションして綺麗に、大事に使うぞ! 是非とも買わせてくれ!」
「あ、ありがとう……えっと、じゃあ、二本ね。はい、料金……これ、お釣りね」
「ありがとう、ヤエちゃん! もっと売れるといいな!」

 ――嬉しそうに、ぴょこぴょこと跳ねるように走り去っていく。電気コンセントの尻尾もぴょこぴょこ揺れる。その背を見送って。

 ……何なの、あのかわいい生き物は……いや、生き物じゃなくてロボットか……。
 とにかく、かわいいって言われるのも納得っていうか、反則的っていうか……あんなにかわいい存在を、いったい誰が作ったのやら……。
 うーん、SFチックでドキドキしちゃうわね。
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ざくざくアクターズというフリーゲームの二次創作をやっています。ネタが思いつくかどうかは気まぐれなので不定期更新。
主な活動場所はpixivで、この場所はあくまでも保管庫として活用しています。
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