タイトルどおり、pixivなどで書いたざくアクSSの保管場所です。
内容に差異はありませんが、ショートショートにまとめられていた話などは細かく分けられています。
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――ほんの数時間前の激闘が、随分と昔のことのように思える。 一度エステルと交代して休憩を取った後、再び外を見張っている。
「そのまま休んでてもよかったんだよ、マリー?」
「君こそ、できる限り休息を取ってもらいたいんだけどね、エステル。帰還時のゲートのことで大事な役割があるかもしれないんだから」
もう一度見張りを代わろうと声をかけたが、彼女は苦笑気味にこのまま付き合うと答えた。ついさっきも、お互いに自分は大丈夫だから相手はゆっくり休むべき、なんてやりとりをしたばかりだ。
まあ、本人が大丈夫だと言うのなら大丈夫なんだろう。私はもちろん、エステルもきっと。
「――それに、ここまで来たら、いっそのこと見届けようかなって」
エステルがそう言って、視線を上げる。
その先に広がるのは、星々の輝きはもう見られない代わりに、少しずつ蒼が交じり始めた、一面の空。
――ああ、もうすぐ朝が来る。
私達が知っているのとは少し違う異世界。
だけどこの光景は、向こうと全く変わらないだろう。
でも、これからの私達に、改めて希望をもたらしてくれる、いつもと違う、夜明けの光景。
「――んー、きっと気持ちいいよねー」
エステルが呟きながら、んーっと体を伸ばす。
視線の先には、空と大地の境目から徐々に昇り出す、光。
私達の、ハグレ王国の新しい始まりを祝福してくれているかのようにも、思えた。
我らの国王、デーリッチが行方不明になり、存在さえ危ぶまれ。
決して諦めるつもりもなかったとはいえ、一時は本当に絶望しそうになった。
けれど、エステルの命さえ削るような奮闘のおかげで、小さな希望を手繰り寄せた。その希望を頼りに、仲間と一緒に必死に走り続けた。
途中、間に合わないかもしれないという恐怖で足がもつれ、転びそうにもなった。それを思い返すと、私一人では絶対に辿りつくことはできなかっただろうけれど――そこでも、仲間が私を支えてくれた。
そうして、すんでのところで間に合った。
私達は、大切な人を――デーリッチを助け出すことが出来たのだ。
完全に日が昇って朝が来れば、この世界とのお別れのために歩き出すことになる。
けれどそれは、ハグレ王国が再び始まるための、第一歩になるだろう。
――願わくば、王国の存在が、この夜明けのように、世界に光をもたらすものになりますように。
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自己紹介:
ざくざくアクターズというフリーゲームの二次創作をやっています。ネタが思いつくかどうかは気まぐれなので不定期更新。
主な活動場所はpixivで、この場所はあくまでも保管庫として活用しています。
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