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タイトルどおり、pixivなどで書いたざくアクSSの保管場所です。 内容に差異はありませんが、ショートショートにまとめられていた話などは細かく分けられています。
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ローズマリーとエステル。
第3章の異世界イベント、深夜の会話の後のシーン。

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――ほんの数時間前の激闘が、随分と昔のことのように思える。  一度エステルと交代して休憩を取った後、再び外を見張っている。

「そのまま休んでてもよかったんだよ、マリー?」
「君こそ、できる限り休息を取ってもらいたいんだけどね、エステル。帰還時のゲートのことで大事な役割があるかもしれないんだから」

 もう一度見張りを代わろうと声をかけたが、彼女は苦笑気味にこのまま付き合うと答えた。ついさっきも、お互いに自分は大丈夫だから相手はゆっくり休むべき、なんてやりとりをしたばかりだ。
 まあ、本人が大丈夫だと言うのなら大丈夫なんだろう。私はもちろん、エステルもきっと。

「――それに、ここまで来たら、いっそのこと見届けようかなって」

 エステルがそう言って、視線を上げる。
 その先に広がるのは、星々の輝きはもう見られない代わりに、少しずつ蒼が交じり始めた、一面の空。



 ――ああ、もうすぐ朝が来る。



 私達が知っているのとは少し違う異世界。
 だけどこの光景は、向こうと全く変わらないだろう。

 でも、これからの私達に、改めて希望をもたらしてくれる、いつもと違う、夜明けの光景。

「――んー、きっと気持ちいいよねー」

 エステルが呟きながら、んーっと体を伸ばす。
 視線の先には、空と大地の境目から徐々に昇り出す、光。

 私達の、ハグレ王国の新しい始まりを祝福してくれているかのようにも、思えた。



 我らの国王、デーリッチが行方不明になり、存在さえ危ぶまれ。
 決して諦めるつもりもなかったとはいえ、一時は本当に絶望しそうになった。
 けれど、エステルの命さえ削るような奮闘のおかげで、小さな希望を手繰り寄せた。その希望を頼りに、仲間と一緒に必死に走り続けた。

 途中、間に合わないかもしれないという恐怖で足がもつれ、転びそうにもなった。それを思い返すと、私一人では絶対に辿りつくことはできなかっただろうけれど――そこでも、仲間が私を支えてくれた。

 そうして、すんでのところで間に合った。
 私達は、大切な人を――デーリッチを助け出すことが出来たのだ。



 完全に日が昇って朝が来れば、この世界とのお別れのために歩き出すことになる。
 けれどそれは、ハグレ王国が再び始まるための、第一歩になるだろう。



 ――願わくば、王国の存在が、この夜明けのように、世界に光をもたらすものになりますように。
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ざくざくアクターズというフリーゲームの二次創作をやっています。ネタが思いつくかどうかは気まぐれなので不定期更新。
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