柚葉、クラマ。
ものすごくメタな話。あの台詞を言いたかっただけ。

「天狗じゃ！　天狗の仕業じゃ！」
「いきなり何だよ！？」
「とぼけるな！　お主のせいで私のアイデンティティがひとつ失われたのだ！　そこになおれ！」
「何の話だよ！？　ってかあんた和国風のなりして躊躇なく横文字使いやがったな！？」
「話を逸らすでないわ！」
「そもそも何の話だっつってんだよ！　ええと……個性がどうたら」
「そう、個性だ！　お主、よくも私のBGMを横取りしてくれたな！！」
「今度はメタ発言かよ！？　……あー、もういいや、突っ込むのもキリがねえ……」

「で、BGMって何のことだよ」
「うむ。『キャワユイそなたとアリオリハベリイマソカリ』という曲のことだ。あれは３章の時点では私とハグレ王国の対決の時専用のBGMだったのだ」
「今度は章にまで言及しやがったよ……」

「それがどうだ、４章に入ってからは風祭神社だったか、お主の住処で大盤振る舞いされているではないか！」
「知らねえよ、そんなの設定した奴に言えよ！　だいたいそういう理由だったら……あー、魔王タワーのサネアツとかいう奴はどうなんだよ」
「ふふふ……奴は格好の的だったな。過剰防衛の陣を張れば面白いほどに反撃ができるからな！」
「おい、目が怖えよ」
「そして残るはお主だけだ！　私のアイデンティティのためにも、覚悟してもらおう！」
「知らねえっつってんだろ！？」



「――くそったれ、滅茶苦茶疲れた……理不尽にも程があるだろうが……」
「すまないな、随分とエスカレートしてしまった」
「また横文字かよ……てか、エスカレートって何だよ」
「うむ、実はただ『天狗じゃ、天狗の仕業じゃ！』と言ってみたかっただけなのだ」
「大迷惑だあああああああああ！！？」
「この悲しみをどうすりゃいいの、誰が僕を救ってくれるの」
「うるせええええええ！！？」