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タイトルどおり、pixivなどで書いたざくアクSSの保管場所です。 内容に差異はありませんが、ショートショートにまとめられていた話などは細かく分けられています。
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メニャーニャとプリシラ。
黒い腹の探りあいをしている姿が似合う二人ですけど、自分の国を想う純粋さを持っている点は同じだと思うので、そこは通じていてほしいなと。

+ + + + + + + + + +

「すみません、たこ天とライデンおこしをください。あ、こっちで愛情おむすびとエルフの緑茶を用意しているので大丈夫です。はい、ありがとうございます」

「さて……」



「……今度はあなたですか、プリシラさん……」



「こんにちは、メニャーニャさん。お隣、失礼しますね」
「ああ、はい、どうぞ……ヅッチーさんはどうされたんです?」
「デーリッチさん達と一緒にてこてこ山でレアアゲハ狩り、だそうです。メニャーニャさんと同じく置いていかれちゃいました」
「……後ろの言葉をわざわざ言わないでください」
「あら、同じ立場じゃないんですか?」
「だとしても、です。言われて気分がいいものじゃありません」
「それはすいません」
「すまないと思ってないでしょう、まったくもう……」
「ただまあ、ちょうどいいなとも思ってます」
「……何です?」

「前置きとして、お互いに妖精王国参謀および帝都特務召喚士官としての立場でのやりとりでは、今後も容赦するつもりはありません」
「……せっかくのお昼時にわざわざそんなことを言いに……」
「ああ、いえ、本題はこの後です」



「――個人としては、私、メニャーニャさんに謝りたいなって思ってたんですよ」



「……はあ??」
「随分と意外そうな顔をされてますね?」
「……唐突なのもありますし、プリシラさんのほうからそんなことを言われるとは、まったく考えてなかったもので」
「なんかひどいイメージを持たれてる気がしますねー。まあ、そう思われても仕方ないくらいのことをしてる自覚はあるんですけども」
「なんです? ここで謝ってイメージを上げておこうとでも?」
「そんな打算的なことじゃありませんよ。二つの戦争を今振り返って、改めて思ったことなんです」
「……私絡みで言うと、ハグレ連合襲撃戦争と、巨大魔物戦争ですか?」

「ええ。前者の頃のメニャーニャさんは、相当きつい時期だったはずです。にもかかわらず、メニャーニャさんからすれば胃の痛くなるような交渉事を持ってきてしまって」
「ああ……なるほど。ですがそれは、今思えば取るに足りないことですよ」
「そうなんですか?」
「ええ。まず、あの交渉のおかげでエルフ王国が静観に回ってくれて、戦争の勝ち筋が見えた。そしてタンポポ山の追撃作戦の事後処理においてもその交渉が活きて、結果としてケモフサ村を保護することができた――無駄な血を流さずに済んだのですから」
「私どもからすれば、ケモフサ村は発展の余地がたくさんあるという判断からなのですけどね?」
「ですが、帝都が手を出しにくくなったことで、余計な諍いも起こらずに済む。戦争の傷が癒えるのは、まだ時間のかかることでしょうけれど……まあ、ですから。謝られるようなことはないので、気にしないでください」
「……うーん、抱え込み癖のあるメニャーニャさんだからなあ」
「何なんですか……」
「いや、まあ、とりあえずはそう仰るなら気にしないことにします」

「次に、巨大魔物戦争です。……あの時は妖精王国もエルフ王国も作戦通りに動けなくて、メニャーニャさんの負担がものすごく大きくなってしまいました」
「それもわざわざ謝られるようなことではありませんね。妖精王国だって、戦力が次々に脱落するボロボロっぷりで、大明神さんも生死の境をさまよう怪我をして……お互い様じゃないですか」
「……ええ。ですがその時、エルフの女王様が慈悲をくれて。それを受けた帝都の騎馬隊の皆さんが、みんなを助けに走ってくれて――たくさんの助けをもらって、切り抜ける事ができたんです」
「……なるほど。言いたいことはなんとなくわかりましたよ」

「先程、参謀の立場として――要するに国を背負う立場として容赦はしない、と言いましたけれども」
「はい。私も容赦はしませんよ」
「ええ……ですが、短期的にはどちらかが損をするようなやりとりであっても、ゆくゆくはどちらにとっても有益となるような、そんな関係を築いていきたいなって」



「自分達だけで立っているわけじゃない。廻り巡ってどこかの誰かを支え、また支えられて成り立っている――そのことを忘れずにいたいな、と思うんです」



「……ある意味、さらに警戒しなければいけなくなりましたね」
「あ、ひどいなー。メニャーニャさん、そういう気質なんです?」
「茶化さないでください。今のあなたは『腹を括った』ようにも見えますから」
「まあ、メニャーニャさんがそれを察知して、今後の交渉事が一層引き締まったものになるのなら、悪いことではありませんね」
「前準備がしやすくなったようにも思いますが……『個人的には』ある程度容赦してくれるとありがたいですね」
「ああ、胃薬が必要でしたら用意しますので」
「やっぱり駄目ですか……」
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ざくざくアクターズというフリーゲームの二次創作をやっています。ネタが思いつくかどうかは気まぐれなので不定期更新。
主な活動場所はpixivで、この場所はあくまでも保管庫として活用しています。
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