タイトルどおり、pixivなどで書いたざくアクSSの保管場所です。
内容に差異はありませんが、ショートショートにまとめられていた話などは細かく分けられています。
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「ふう……」
腕を伸ばして息をつく。今日も無事に実験を終えて、レポートを書いている最中だった。趣味でやっているとはいえ、没頭してしまってどうにも身体が凝ってしまう。しかしその甲斐あってか、この分だと次の会議までに実験結果を報告できそうだ。
仕上げに向けて一息入れるつもりで席を立とうとした時――扉がノックされた。
「ヘーイ、メニャーニャ。起きてるカーイ?」
……この声は。異国訛りからして容易に察せられる。夜も随分と更けていたが、悪魔ならば起きていても不自然ではないのだろう。けれど、こんな時間に、私に何の用なのか。
とりあえず部屋の中に入ってもらおうと、ドアを開けた――刹那。
「わあっ!?」
いきなりお姫様抱っこをされ、そのまますたすたとベッドに連れて行かれ、放り投げられ、のしかかられ。あっと言う間の出来事。
わけがわからないながらも、押しのけようと手を伸ばした時、目が合った。
――私を見下ろしている、その表情。
イリスさんが、今まで、これほど真剣な顔をしていたことがあっただろうか。
その顔を見た途端、拒絶の手は動かなくなってしまった。
目を逸らしたくても、逸らせない。
吸い寄せられるように、私は、イリスさんの顔を見つめてしまっていた。
そのまま見つめ合う。
釘付けにされてしまった私。微動だにせず見つめ返す悪魔。
しばらくしてから、悪魔は小さく、唇の両端を吊り上げ――
「んんっ……!」
息を詰まらせてしまい、言葉を紡げなくなる。
イリスさんが、私の唇をキスで塞いでしまったから。
口づけられ、腕に抱かれ――もうひとつの腕が、服の下へと伸びる。そのまま、私の胸に触れる。
身体を、もてあそばれている。
――それなのに。
押しのける意思を見せることが、できない。自分の意思では、身体を動かせない。
凍りついてしまったように。
それは、私をもてあそぶ悪魔の力によるものか、私自身が痺れてしまっているのか――わからなかった。
無抵抗なまま、悪魔の愛撫を受け続けた。
――どれくらいの時間が経ったのか。すでに身体は力を失くし、意識は曖昧なものになっていた。
ベッドに仰向けに投げ出された私の横に、縁に腰掛けるイリスさんの背中が見える。
また、目が合う。
イリスさんは顔だけを向けて、不敵な笑みを浮かべる。
「これでオマエは私のものダ。死後は私の死神としてしっかり働いてもらうゾ」
――ああ。
今、そんなことを言うなんて、卑怯だ。
「……今、それを言われてしまったら……断れないじゃないですか」
彼女の渾名の通りに。
私は今、この人に、魂を手繰られてしまった。
そう、明確に自覚してしまったなら――
「……何ダ?」
イリスさんの背中に、すがりついて。
「……もっと、ください」
――自分の声が、自分のものじゃないみたいに響いた。
さらなる堕落を、求める声。
悪魔は小さく笑い、告げた。
「――後悔したって、遅いからナ?」
キスをした。
舌を絡みつかせて。
肌を舐められた。
這うように、伝うように。
身体を噛まれた。
契約の証として、傷が残るように。
それでいて、纏ってしまえば他人には見えないように。
ありとあらゆる、責めを受け入れて。
それでいて、私は悪魔の身体に強くしがみついていた。
お互いに、一糸纏わぬ姿で。
乱れて、乱れて。
その時間は、永遠のようにも思えた。
――けれど、終わりはやってくる。
「……もうすぐ、日が昇るカナ」
再び、ベッドの縁に腰掛けながら、イリスさんが呟く。
私はその横で、再び力を失くして仰向けに転がされている。
一日の始まりが、迫っている。
「……このことがみんなに知られてしまったら、私は終わりですね……」
――悪魔に犯された淫らな姿。非常に大きなスキャンダル。
もたらされる、破滅。
「――終わらせネーヨ」
一蹴する言葉。頭を撫でる、悪魔の手。
「オマエには人生をきっちり全うしてもらわなきゃならないからナ……今日のことは、オマエと私だけのトップシークレットサ」
「……どういうことなんです?」
「もしも暴こうとするヤツがいるなら、私が守ってやる。飴玉にして踏み潰してやるヨ」
――イリスさんらしい、冷酷なる宣言。
「……ありがとうございます」
「クク、犯されておいて礼なんか言うんジャネーヨ。ホレ、身体を起こセ。背中見せろヨ」
お互いに笑ってしまう中、言われたとおりに背中を向ける。
ふわっ、と柔らかい綿の感触が押し付けられた。
「拭いといてやるヨ。さすがにそのまま服は着られネェダロ。朝になったら銭湯行コウゼ?」
「……一緒に居たら誤解されそうな気がしますが」
「だからさっさと朝のうちに済ませちまうんダヨ。ま、実際は誤解じゃなくて正解なんだがナ」
「……そうですね」
ついさっきまでの行為を振り返れば、私とイリスさんの間に魂の契約が刻まれていることは明白だった。
「けど、あくまで契約が有効になるのは『オマエが死んでから』だからナ――それまでは、憧れの先輩たちを追いかけ続けるがいいサ」
「……嫉妬なんてしないでくださいよ?」
「ハッ、むしろ素直に甘えられずに悶々としてるのがオマエダロ。そんなの嫉妬する気も起こらないネ」
……図星だったので息を詰まらせてしまった。
そんな私を見て、悪魔はからかうように笑った。
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男性
自己紹介:
ざくざくアクターズというフリーゲームの二次創作をやっています。ネタが思いつくかどうかは気まぐれなので不定期更新。
主な活動場所はpixivで、この場所はあくまでも保管庫として活用しています。
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