タイトルどおり、pixivなどで書いたざくアクSSの保管場所です。
内容に差異はありませんが、ショートショートにまとめられていた話などは細かく分けられています。
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「うむ、やはりメニャーニャにはねこみみがよく似合うのう」
「全然嬉しくないっ……! ていうか何ですかねこの装備効果は嫌がらせですかね!?」
「褒めておるのじゃがのう……装備効果にしても雷攻撃アップって、おぬし向きではないか」
「全力で私に装備させろっていうバイアスかかってますよね。というか私向きというならトップオブスカイをよこせ」
「あれは究極レアな上に競争が激しいからのう……炎と雷を両方使えるわしなんか筆頭候補じゃし、エステルにヴォルケッタやヅッチーといった火力特化の面子にも需要がある」
「わ、私だって雷使いですし! 超電磁ビットっていう必殺技ありますし!」
「ビットは火力よりも超弱体化が肝ではないか。それにおぬし、自前での雷ブーストスキルを持っておらんし……その点でどうしてもトップオブスカイの優先度は下になるのじゃよなぁ」
「だったらいっそ割り切って別のものを装備しますよ! どんなに理由付けされたところでねこみみを装備しろっていうのは強烈な悪意を感じますね!」
「いや、悪意って……そこまで嫌がらんでもよいではないか。おぬしの先輩なんか積極的にうさみみを付けておるのに」
「徒競走の時のアレですかね……よくわかりません……」
「自分がうさぎのイメージであることを割と大事にしておるってことではないかの。おぬしはおぬしでなんでそんなにムキになって猫のイメージを否定するのじゃ」
「そのイメージをダシにして先輩方がからかいにくるからですよ……そのたびに恥ずかしい思いをしなきゃいけないんですから、たまったものではありません」
「うーむ、しかしなぁ……おぬしが抱かれる猫のイメージというのは、別の誰かからすれば欲しくて欲しくてたまらなかったりするんじゃぞ?」
「何ですかそれ。マオさんの知り合いにそういう人がいるんですか?」
「うむ。アナンタという奴なんじゃが……あやつはなぜかねこみみが装備できんらしい」
「ええ? ……頭に装着するだけじゃないですか」
「できんものはできんのじゃよ。後で登場した『真・ねこみみ』というやつは装備できたそうじゃが……」
「なら別にそれでいいじゃないですか」
「いや、どうも本人にとってはコンプレックスのようでなあ」
「何だったら喜んでお譲りしますよ」
「そんなことが簡単にできたら誰も苦労せんじゃろ……それにのう、メニャーニャ」
「なんです?」
「皆がおぬしを猫に例えるのを悪口と思っておるわけではなかろう? 猫に似てかわいいとか、ひねくれてて気難しいけど優しいとか、それぞれに親しみを持って例えておると思うのじゃが」
「だとしても、私が私に抱くイメージとは随分と異なるので……」
「それにしたって、もう少しくらいは受け入れてみてもいいと思うんじゃがなあ……」
「難しい問題です。とにかく、このねこみみは倉庫にでも保管しておいてください」
「結局、装備はしてくれんのか……もったいないのう」
「魔王タワーでいくらでも交換してもらえるじゃないですか。それに、他に似合う人だっていますよ、きっと」
「一番似合いそうな人間にこそ装備してほしかったんじゃが」
「しませんよ?」
「おおう、きっぱり……それならしょうがないのう」
「心底残念そうに言ったって駄目ですからね?」
「うう、これぞ駄目押しというやつか……」
******
『君は贅沢だっ!!』
うわぁ!?
『私が必死の努力をしてようやく手に入れた猫のイメージを、君は最初から当たり前のように持っているのに、どうしてそんなに嫌がるんだよ!?』
……好きで持ってるわけじゃありませんよ。
というか、あなたは……それ、猫のイメージっていうか――
『何!?』
……いえ。何でもありません。
『その流れで本当に何でもなかった人ってあまりいない気がするけどね……まあいいや、話を戻そう。君の考え方は、私からすればものすごく理不尽なんだけど。せっかく生まれ持った才能をどうして活かさないんだ!?』
――私が欲しかった才能は――
『ん?』
……シノブ先輩と肩を並べられるぐらいの知識や、エステル先輩のような強さが欲しかった。けれど現実の私の力は、どっちも二人には追いつけない、中途半端なものなんです。
『……随分、気にしてるんだね?』
理不尽なものですよ。必要のない才能なんていらないのに。そのくせ、本当に欲しい才能を持って生まれて来れなかった。
『そうかい? 才能があるなら活かすに越したことはないし――無くたって、手に入れることはできるんじゃないかな?』
――どういうことです?
『今の私を見なよ。残念ながら猫イメージの才能は持てなかったけど、今は誰がどう見たってかわいい猫だろう?』
――いや、だからそれって……ああ、すいません何でもありません、そうですね、はい。
『君だって同じだと思うよ。欲しい才能を生まれながらに持つことはできなかったかもしれないけど……今、君が言った言葉は、手に入れようと必死で努力したからこそ出てきたものだと思う』
……中途半端なものだって言ったじゃないですか。
『でも、確かに身に付いているだろう? それはもしかしたら君にとって誇れるものかもしれない。決して無駄なものなんかじゃない。だから嘆くことはないと思うよ』
――そうなんでしょうか。
『自信、持ちなよ』
……ふふ、ありがとうございます。励ましてくれてるんですね。
『いい笑顔するじゃないか。なんだか勝手に夢に出てしゃしゃり出ちゃった気がするけれど、気に留めておいてくれると嬉しいな』
わかりました――努力することを諦めません。
『そうそう、その意気だよ。……それにしてもやっぱり、君の猫イメージの才能はうらやましいなあ』
……譲れるものなら喜んで譲りたいですけどね。
『それはできないことだから、私の分まで是非とも活かしてほしいよ。お願いだから』
――まあ、そう仰るのでしたら考えてみます。
******
「おはよー、メニャ――んぎゃあああああぁっ!!!?!?」
「ああ、エステル先輩、おはようございます」
「いや、なんで普通にしてんの、っていうかあんた――」
「なんで頭だけ完全に猫になってんの!!?」
「なんですか先輩。今の私はあなたが大好きなめにゃーにゃですよ?」
「いや違う、私のイメージするめにゃーにゃはこんなんじゃない……!!」
「心外ですね。先輩があまりにも私のことを猫だ猫だというから、本当に猫になってしまったというのに」
「首から下が完全にいつものメニャーニャなのに頭だけリアル猫ってバランスおかしすぎるだろ!?」
「オイ何だ、えらい悲鳴が……ウワアアアアァッ!!?!?」
「ああ、イリスさんもおはようございます」
「ワッツハップン!? ホワイイズザモンスターヒアー!?」
「モンスターとは酷い言い様ですね。私は皆さんのイメージが具現化した存在なのです」
「違うダロどう見ても!? 私達のイメージは魔王タワーの天国にいたにゃーにゃのほうであって、リアルキャットヘッドなユージャネェヨ!?」
「イリス、こいつは危険だ! 私が食い止めるからあんたは早く逃げろ!!」
「エステル!? ユーひとりじゃ――」
「危険だなんて本当に酷いですね」
「ひっ――!?」
「オイ、どうした!?」
「か、体が動かない……猫の目に見つめられただけで……!?」
「ナンダッテ!? くそっ、ぽてと君に匹敵するほどの眼力を持つというのか!?」
「……ふふ。イリスさんもそんなに慌ててくれるなんて」
「ウ、ウワアァ!? こ、こっちに来るナァ!!」
「ご心配なく。危害を加えるつもりはありませんので」
「ク、クソッ……こ、この冥界姫イリスが、手も足も出ないなんて……!!」
「――効果覿面のようですね。どうせなら今日一杯はこの姿でいるとしますかね」
「ナ、ナンダト!?」
「おい、メニャーニャ考え直せ!! あんたがそんな姿で出てったら、ハグレ王国が大パニックになっちまうぞ!?」
「お二方は随分と大げさなのですね――そんな心配は無用というものです。できれば今後はある程度は認識を改めてくれるとありがたいですね」
「ど、どういう意味ダ!?」
「それは考えてください。では、失礼します」
「…………おい、イリス、イリス。大丈夫か?」
「お互い様ダロ、エステル……」
「……震えてんな、お互い」
「オウ、人肌がこんなにも恋しくなるとは思わなかったヨ……」
「……あれ、何だったんだろうな……」
「サッパリワカラネーゼ……まさかぽてと君に並びかけるほど恐ろしいものに遭遇するとは……」
「……衝撃度がよくわかるな、それ……」
「……悪魔がこんなこと言うのも何だが……私達には、祈る事しかできないナ……」
「ああ……ハグレ王国がパニックに陥らないように……」
******
「……まったく。メニャーニャさん、何をやってるんですか」
「というか、呼び出された今もリアル猫ヘッドのままなんじゃな……」
「ローズマリーさん、マオさん、お騒がせして申し訳ありませんが、今日一杯はこの姿で通させてください」
「今日一杯は、ですか……」
「……確認したいことがあるんじゃが」
「何でしょう、マオさん?」
「それ、被り物じゃよな?」
「ええ、そうですよ。いつでも脱げます」
「喋っていても、口も目もまったく動かないからね……とはいえ、驚くほどリアルな出来ではあるけれど」
「最初に目撃したエステルとイリスはまったく気づいてなかったみたいじゃが……というかあの二人、今も震えておるらしいのう」
「……ちょっとやりすぎたかもしれませんね。でもこれで、少しは猫扱いを自重してくれるといいのですが」
「まあ、効果は抜群じゃろうのう」
「ほどほどにしておいてくださいね、メニャーニャさん。あの二人はまあ、猫のイメージをネタにしてからかいに来ることもあったから自業自得な面もありますが、シノブさんあたりがあなたの意図を知ったら本気で悲しみそうな気がしますので」
「あの人のイメージの産物がにゃーにゃであることを考えると、確かにあまり無碍にもできませんね……留意しておきます」
「それで、じゃ。そもそもどうやってその猫ヘッドを入手したんじゃ?」
「……昨晩、夢を見ましてね。その夢の中に、まさに今の私みたいな姿の女の人が出てきたんですよ」
「は? ……まさかアナンタ……いや、アニャンタか?」
「ああ、昨日マオさんが仰っていた人だったんですか……その人に説教されましてね。持って生まれた才能をどうして活かさないんだとか、せめて私の代わりに活かしてほしいとか」
「他人の夢に出て説教するくらい飢えておるのか……」
「ただその一方で、才能を持って生まれられなかったとしても、努力する過程で身に付いたものは決して無駄にはならない、とも仰っていました。そして自分は努力することでかわいい猫のイメージになることができたと、誇らしげに語ってらっしゃいましたね」
「……どう考えても認識が間違っているとしか思えんのじゃがな……今のメニャーニャと同じく、リアルすぎて怖いんじゃが」
「とはいえ、会話自体は随分と実りがあったようですね?」
「――そんな夢を見た後、朝起きたらベッドの傍にこのリアル猫ヘッドが置いてありまして」
「それも不思議な話ですね……まあ、こればかりはメニャーニャさんもわかりませんか」
「そうですね。でもまあ、今となってはいいものが手に入ったと思っています」
「少なくともエステルとイリスにお灸を据えるには効果覿面だったわけじゃな……」
「でも、その二人も悪意ではなく親愛を持ってメニャーニャさんを猫に例えているわけですから、ほどほどにしてくださいね?」
「……少し不本意ですが、善処します」
「ではこれで。お時間を取らせてすみませんでした」
「いえ、こちらこそお騒がせしました。もうしばらくこの姿にお付き合いください」
「意外と気に入っておるのか?」
「ええ、意外と」
******
――サンタガールさんの証言――
「いや、なんだかプレゼントを配って回ってたら、ハグレ王国の拠点の一室からものすごい念を感じて、これを渡さなきゃいけないって使命感に駆られたっていうか、ね?」
★伝説の猫ヘッド
リアルすぎる出来の、猫の頭の被り物(雷攻+20%/麻痺・スタン無効)
「はろはろ~、皆さん大好きめにゃーにゃですよー?」
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ざくざくアクターズというフリーゲームの二次創作をやっています。ネタが思いつくかどうかは気まぐれなので不定期更新。
主な活動場所はpixivで、この場所はあくまでも保管庫として活用しています。
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