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タイトルどおり、pixivなどで書いたざくアクSSの保管場所です。 内容に差異はありませんが、ショートショートにまとめられていた話などは細かく分けられています。
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イリス、エステル、メニャーニャ。
イリス様の正体に迫る話。とはいっても結構独自設定かもしれません。

+ + + + + + + + + +

「――最近さあ、気になってることがあるんだけど」
「ワット?」

「イリスってさ……見た目、私達とそんなに変わんないわよね」

「アー、マオにも似たようなこと言われたヨ」
「まあ、少なくとも見た目は悪魔っぽくないっていうか、普通の人間って言っても全然差し支えないっていうか」
「でも、実際は悪魔の中でも高位の、冥王の娘……なのですよね」
「……ってことは、その、さ」
「ナンダヨ、歯切れ悪いナ――ま、何が言いたいかは予想がつくし、怒らネェから言ってみナ」



「あー、うん……私達よりさ――ずうっと長く、生きてるんじゃないの?」



「――ソウダナ。ユー達から見りゃ気が遠くなるくらい長生きしてるヨ」
「やっぱりか……でなきゃ、冥界で死者の行く末を司ったりできないもんね……」
「司るっていうか、冥界に堕ちてくるような死者は基本的に外道ばっかりだから、玩具にして遊んでるだけだがナ。たまに例外もいるが」
「……マクスウェルか?」
「イエス。ま、ヤツの話は前に言ったとおりで、これ以上話すことは無いけどナ」
「……今度は良い出会いに恵まれるといいな、あいつ」
「それもまたヤツ次第、ダヨ」

「……イリスさん。今の話で、もうひとつ気になることがあります」
「……フム。やけに発言が少ないと思ったら、何か考えてたのか、メニャーニャ?」
「ええ。悪魔として非常に長生きされているとのことですが――」



「あなたの今のその姿は、かりそめなのではないでしょうか?」



「え……ええええ? おい、えらくまたぶっとんだ説を持ってきたな?」
「……どうしてそう思ったンダ?」
「いえ、ふとあなたの必殺技を思い出しまして」
「プライドオブハーデスのことかい?」
「はい。あの技は……泥のようなものがあなたの姿を象り、そして魂を手繰り寄せるという過程に見えます」
「……フーム。泥、と言ったか」
「ええ――あなたはその気になれば今すぐに『別の姿に変わることができる』のではないですか?」
「…………」
「おい、なんで黙っちゃうのよ……」
「……いや、さすがになかなか鋭いナ、メニャーニャ――それなら回答の前に、私のパパの話をしようか」
「……冥王の話を、ですか?」
「イエス――我が父、冥王シェオルの話をしよう」





「まず、泥という表現を思いついた時点で感心モノなんだが……パパはまさに泥のような、あるいはゼリーのような闇で出来た、不定形の存在なのサ」
「ふ、不定形? スライムみたいな?」
「イエス。それでもって、私はパパと呼んでいるが、実のところ性別も不明だったりする」
「……想像し難い存在ですね」
「具体的な想像が出来る奴なんていない。並の生き物なら、近づいただけで心臓が潰れちまうサ――知っているのは、私だけだ」
「……なんとなく納得がいったような。そんな冥王の力を受け継ぐあんたも、本質は泥のような闇を纏っているということか?」
「――まだ結論には早いゾ、エステル」
「なんだって?」
「……パパの纏う闇は、他の生き物から絞り取ったものダ。ありとあらゆる世界の業を集めに集めて、それがパパという存在を形作っている」
「……ありとあらゆる、世界の業を……」
「ああ、そこはとても重要な点ダナ――すべての業を集めるということは、あらゆる生き物のために自ら業を背負ってやっているのだ、と言い換えることができる。すなわち――」

「私のパパこそ――冥王シェオルこそ『世界の光』なのサ」

「……泥のような闇の存在こそが光とは、なんともまあ、矛盾しているような気がしますね」
「だが、私としては何があっても譲れないナ、こればかりは」
「――譲れない、か……それだけのことを聞かせてくれただけでも、私達としては噛みしめなきゃいけないのかもしれないわね……」





「……さて。私は冥王の娘ダ。ゆえに、同じ力を受け継いでいる」
「はい。……今の話を聞く限りでは、やはりイリスさんも本質は闇の塊のような存在であるように思えます。悪魔と一口に言っても、ゼニヤッタさんとは全く違う存在であると」
「……どうなの?」



「……悪いが、明言は避けさせてくれヨ。たぶん、肯定しても否定しても、もやもやしそうな気がする」



「な、なによそれ……」
「……わかりました。追及はやめておきます」
「っておい、質問したくせにあっさり引き下がるんだな、メニャーニャ……」
「ソーリー……少なくとも、ハグレ王国に関わってる間、私がユー達を愛する間は、この姿のままでいさせてくれナ」
「……それ、ほとんど答え言ってるようなものじゃない?」
「だとして、いくら突っ込まれても、私としてははぐらかすしかネーヨ」

 ――ぎゅむっ。

「――ユーのほうから抱きついてくるなんて、珍しいジャネェカ、エステル」
「……今の話聞いてたら、なんか不安になっちゃって。ちょっと冷たいけど、普通にぷにぷにした人肌の感触だよな、これ……」
「ユーはちょっとあったかいな……私が氷の悪魔で、ユーは炎の魔力を宿すから、カナ」

 ――ぎゅむぎゅむ。

「むー……だからイリス、苦しいってば」
「やっぱり何回抱いても心地良いからサー……こういう姿だから体験できることだよナー」
「……また目の前でいちゃつくんですか……」
「ナーンダヨー、メニャーニャ、拗ねるなヨー。ホレ」
「……なんで背中向けるんですか」
「今なら後ろはがら空きだゼー?」

 ――むぎゅうっ。

「オーゥ……召喚士二人にサンドイッチされちまったゼ……ここはこの世の天国か……」
「悪魔が天国気分って何なのよ、もう……」
「ちょっと言動が大明神さんに寄っていってませんか?」
「一緒にすんなヨー。アイツは根回しもなくいきなりセクハラ仕掛けて返り討ちに遭ってるダロー」
「わざとやってんじゃないのって節あるよな……」
「まあ、私達の場合はどっちも自分から抱きついてますしね……」
「私の人徳が成せる業ダナ、んふふふ~……」
「人徳って……悪魔が人徳って……ってかまた顔蕩けてるし」
「悪魔って何でしたっけ……」
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ざくざくアクターズというフリーゲームの二次創作をやっています。ネタが思いつくかどうかは気まぐれなので不定期更新。
主な活動場所はpixivで、この場所はあくまでも保管庫として活用しています。
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