タイトルどおり、pixivなどで書いたざくアクSSの保管場所です。
内容に差異はありませんが、ショートショートにまとめられていた話などは細かく分けられています。
エステル、メニャーニャ。
補助的にイリス、シノブ、ローズマリー。
pixivでは3ページ構成ですが、1ページ目にあたる部分がR-18ですので注意。
話全体の構成からすると別にR-18である必要はなかったんだけど、こっちはこっちで書きたいシチュエーションだったので……
補助的にイリス、シノブ、ローズマリー。
pixivでは3ページ構成ですが、1ページ目にあたる部分がR-18ですので注意。
話全体の構成からすると別にR-18である必要はなかったんだけど、こっちはこっちで書きたいシチュエーションだったので……
+ + + + + + + + + +
「……ナア、メニャーニャ」
「何です?」
「……イヤ、ウン。まず、手玉に取るつもりが、すっかり手玉に取られちまってるナァ、私」
「繰り返しますが、仕込んだのはあなたですよ、イリスさん」
「判ってるケド……」
「それに、言うわりには抵抗しないじゃないですか。あなたなら無理矢理にでも逆転することができそうなのに」
「――これはこれで悪くないし、メニャーニャから仕掛けてくるんだったら、受け入れてやりたくてナァ……」
「……まったく。いろいろと、らしくないですね」
「お互い様ダロ……というか、メニャーニャ」
「今度は何ですか」
「エステルに対してこういうことをしようとは思わないのか――っあ!」
「…………」
「きゅ、急に弱いトコロ攻めてくるのヤメロヨ……」
「すいませんね、つい」
「ついじゃなくてわざとダロ……黙らせようとしたナ?」
「……それともやめにしますか?」
「別に構わないが、だからって黙るつもりはないゼ? ――やれ、って言ってるわけじゃない。ただ、気持ちとしてはどうなんだって訊いてるだけダ」
「っ……」
「ま、いろいろと複雑なものはありそうだし、言葉にはできないかもしれないが……メニャーニャ。オマエの主として命じるゾ」
「……何でしょうか、イリス様」
「――エステルと向き合うことに対して、後悔するような選択をすることは、許さない」
「……命令、ですか」
「アア、だが『命令だからそうする』という認識でいてもらっても困る。オマエがエステルをどう思ってるのか、また逆にどう思われているのか……しっかり向き合ってこい」
「……何故、あなたがそんなことを言うのですか」
「もともと私が割り込んだ形だからナ……オマエ達二人はそれぞれ思うところがあるだろう。うやむやにしてないで、はっきりしてもらいたいんダヨ――気持ちよく冥界に来てもらうためにも、ナ」
「…………」
「ドースル?」
「…………」
「――っく、答えない、かっ……!」
「……どうするかは私が決めることです。が、わざわざこうしてけしかけたのですから、それなりの報いは受けてもらいますよ?」
「も、もうちょっと優しくしてくれヨ……」
「……なあ、メニャーニャ。今からでも考え直さないのか?」
「何がですか」
「イリスの死神になるって話を、だよ」
「そんな気はありません」
「即答かよ……」
「今更何をどうこう言おうが、遅すぎるんですよ、先輩」
「うわ、キッツ……それにしたってさあ……」
「……私だって、最初からここまで確固たる決意だったわけじゃありません。あの人の誘いを受け入れはしても、気持ちが揺れていたことはありました」
「……そうなんだ?」
「――少なくとも私に対しては、この人は真面目に接してくれているんだと……そう認識するまでに、いくつかのやりとりもしました。それは決して短い期間ではありません」
「……だから、今更言われても『遅い』のか」
「……そもそも、先輩はいつだって『遅い』んです」
「――なんだって?」
「今回の件に限ったことじゃありません」
「おい、ちょっと待て、どういうことよ?」
「……もっと早くに、ハグレ王国へと引っ張ってくれていたら」
「――私の手は、血に塗れずに済んでいたかもしれない」
「……っ、けど、それは――」
「もちろん、タンポポ山での言葉は全部覚えています。責任を背負うのが私じゃなければそれでいい、重いものなんて背負わなくていい、潰れる前に降ろしてしまえって」
「そうよ……それでいいって言った。私になすりつけていい、って言ったじゃない」
「――でも、すべてをそれで流すわけにはいかないんですよ」
「っ……!」
「……夢の中で見えるんですよ、私自身の血塗れの手が。夢の中で聞こえてくるんですよ、私が殺した人達とその仲間の人達の、怨念の声が」
「どうして……ここには、ハグレ王国には、あんたを脅かすものなんて、何もないのに」
「確かに王国は良いところですが……だからといって、私のやったことが消えてなくなるわけではない。時々、夢という形で現れる――私自身が背負わなければならないものもあるのだと、突きつけられるんです」
「そんな……」
「……先輩がもっと早く私の手を引っ張って、この場所に連れてきてくれたなら、私の手は綺麗なままでいられたかもしれません。でも、それはもう叶わないことです」
「…………」
「イリスさんの件にしてもそうです。もっと早く先輩が動いていれば、私はそちらに戻れたかもしれなかった。でも、もう気持ちを変えるつもりはありません――」
「私は、イリス様のものになります」
――ぎゅうっ。
「……いきなり何をするんですか、先輩」
「――あんたの決意はよくわかった。けれど、だからといって諦めることなんてできやしない。私は往生際が悪いんだ」
「っ……、今更だって、言ってるじゃないですか……」
「本当にそうか? ……時間はさ、無いわけじゃないんだ。決意の固さはよくわかるけど、変わる可能性だってゼロじゃないはずだ」
「……変わるとでも、思ってるんですか……本当に、今更っ……!」
「声、震えてんぞ」
「……遅い、くせに……遅いくせに、なんでそんな、期待させるようなことを、言うんですかっ……!」
「……大層なことは言いたくないが、今からでも取り戻せるものはある、って思ってるよ。それに、今の話を聞いてなお諦められないってことは――」
「私も、やっぱりあんたのことが好きだ、メニャーニャ」
「――――っ!!」
「……あんまりそう派手に照れるなよ。ここまでストレートに言うのは正直言って私も恥ずかしいんだけど」
「……そ、そう言われましても……」
「……遅くてどんくさい先輩でごめんな。でも、あんたのことは間違いなく大事なんだ。あんたがすごく頑張っていることは知っているから、幸せになってほしい――いや、幸せにしたい」
「……期待、していいんですか?」
「もちろん。それは今からだって遅くないだろう? 今は王国の中で一緒にいられる時間も多いから、なおさらだ」
「…………」
――ぎゅむっ。
「……近いなー。距離、めっちゃ近い。今までで一番密着してる」
「――口説いてきたのはそっちなんですからね。今日は、離しませんよ」
「おおう……独占宣言いただきましたー」
(……この人は、遅い。いつだって、遅い)
(手を引いてくれた時にはもう、私は、手遅れの状態だった)
(――遅いけれど。遅かった、けれど)
(救われなかった、とは言わなかった。救われなかったわけじゃなかった――いや、)
(間違いなく、私はこの人に救われて、ここにいる)
(私を救ってくれた人)
(その人が今日、私を好きだと言ってくれた)
(ただそれだけで、私は満たされてしまう)
(この人のあたたかさで、満たされてしまうんだ)
(傍にいてください、エステル先輩)
(傍にいる幸せをもっとください、エステル先輩――)
「……イリス、わざわざメニャーニャさんの部屋の前で何をしているんだ?」
「オー、参謀サン、それにシノブか……就寝チェックかい?」
「そうなんだけど……立ち入っては駄目かい?」
「駄目ダナ。そもそも私は見張りでここに立ってるンダ。今、取り込み中ダゼ」
「……メニャーニャとエステル、ですか?」
「イエス。まったく、世話の焼ける奴らダゼー」
「……何かしたのかい?」
「ちょっとメニャーニャのほうに発破をかけたくらい、カナ……後悔はしてほしくなかったんでナ」
「……なるほど。メニャーニャは意地を張ることが多いし、エステルは少し鈍感ですからね……」
「でも、そういえば……トゲチーク山でのエステルの行動は、並々ならぬ決意を感じましたね。シノブさん、覚えていますか?」
「……ハグレ王国と袂を分かってまで、私を追ってきていましたね。ええ、よく覚えていますよ」
「ナンダソレ。私は知らネェナ」
「まあ、イリスが来るより随分前の出来事だからね。私から見ればあまりにも無謀な行動だったからしばらく口も利かないくらい怒ったんだけど……あのときのエステルは、本当にシノブさんのことを大事に思っていたのがよくわかった」
「クク、良い友人に恵まれたジャネェカ、ユー」
「……当時は無事に合流して下山して、そのあと私の方が行方をくらませてしまったので、結果として裏切ってしまいましたけどね……」
「オイ、笑えねえオチはヤメロ」
「はは。……よくよく思い出せば、タンポポ山でのメニャーニャさんの顛末も似ているところがあったかな。途中、魔物の蠢く道をエステルが一人で突っ切って、メニャーニャさんの説得に向かっていったから」
「オイオーイ。どっちのケースも、一歩間違えたら一人で野垂れ死にジャネェカヨ……」
「それぐらい無茶なことをしてでもメニャーニャさんを助けたかったっていう、想いの強さの表れだと思うよ」
「ま、確かになァ……そもそも私はメニャーニャを死神として従えるという契約をさせてもらったが――メニャーニャが居ること自体はアイツの功績も大きいから、エステルには感謝しないといけないのかもシレネーナ」
「悪魔の感謝、か。素直に受け取っていいものかどうか」
「イヤァ、これは素直に受け取ってほしいもんダゼー。ユー達には秘密を共有してもらってる手前もあるし……私はエステルのことだって好きだからナ」
「二股……ですか?」
「ノー、両取りネ。さらにあわよくはユーもダゼ、シノブ」
「おいおい、随分と欲深いな……」
「そりゃー、悪魔だからナ? それにユー達は三人揃ってこそ、とも思ってる」
「……でも、私はローズマリーさんとも仲良くしたいので、離れ離れになるのはちょっと」
「なら参謀サンもさらっちまおうか……アー、そうなると国王もダナ」
「おいこら、いい加減にしてくれ」
「そうは言ってもナー、考え出すと際限なく広がり続けやがるんダゼ。なんだかんだ、誰かが別の誰かと繋がってるんだよナ、この国の人間って」
「あー……ああ、いやいや、一部納得はするけど、だからってさらわれるのは困る」
「ダメカー。チェー」
「でも、最近の傾向からすると、なんだかんだイリスさんはさらった人の面倒見が良さそうですね?」
「ウグゥ……無垢な笑顔で言うんジャネェヨ……」
「あ、むず痒そう」
「最近ナ、私は本当に悪魔なんだろうかって思っちまうンダ……」
「アイデンティティを失いかけてるんだね……」
「アンプレデクタブリィ……」
「予想外、なんですね?」
「あ、あれってそういう意味だったのか……とするとあの時は『この私が負けるなんて予想外』ってことか」
「スゲエ今更な話題だな、ソレ……さて、もういいダロウ? こんなところで長話も何だし、そろそろ行ってクレヨ。私はもう少し見張ってるカラ」
「ああ、わかった。エステルとメニャーニャによろしく」
「おやすみなさい、イリスさん」
「グッナイ、シノブ、ローズマリー」
PR
この記事にコメントする
プロフィール
HN:
こうと
Webサイト:
性別:
男性
自己紹介:
ざくざくアクターズというフリーゲームの二次創作をやっています。ネタが思いつくかどうかは気まぐれなので不定期更新。
主な活動場所はpixivで、この場所はあくまでも保管庫として活用しています。
主な活動場所はpixivで、この場所はあくまでも保管庫として活用しています。
カテゴリー
最新記事
(01/01)
(06/01)
(05/06)
(05/06)
(12/28)
(09/03)
(08/24)
(08/12)
(08/12)
(08/12)