イリス、メニャーニャ。
全編シリアスな話……の、はずなんですが……

「うみゃー！　うみゃみゃー！」
「ああ～、ハンバーガーがいっぱいだあ～。しあわせだなぁ～」
「食べ放題なんてすごいでちー！」

「フフン、いくらでもあるデース。どんどん食べるデース」

「うみゃみゃー！　チーズバーガー、キャラメルバーガー、いろんな種類があって飽きないでちー！」
「もうハンバーガーだけで生きていけるな！　うみゃー！」

「もっともっと欲しいデスカー？　私の言うことを聞いてくれるなら、いくらでも食べさせてあげるデース」

「聞く聞くー！　聞くからもっともっとちょうだいでちー！」
「いえーい！　お安い御用だぜー！」





　……おいも、たべて？





「――ヒッ！？」

　ぽてと君、こどもだいすき。君、おいもだいすき？

「テ、テメェ、また――」

　おいも、たべて？
　イリスも、たべて？

「な、デーリッチ、ヅッチー――ウワアァ！！？」

　おいも、たべて？
　おいも、たべて？
　おいも、たべて？

「ヤ、ヤメロ、三体がかりで……ヒイッ！？」



　おいも、たべて？
　おいも、たべて？
　おいも、たべて？
　おいも、たべて？
　おいも、たべて？
　おいも、たべて？
　おいも、たべて？
　おいも、たべて？
　おいも、たべて？
　おいも、たべて？
　おいも、たべて？
　おいも、たべて？
　おいも、たべて？
　おいも、たべて？
　おいも、たべて？





「や、やめろおおおおおおおおおおおおおおおおっ！！！！！！！」









「――――っっ……」

「……また嫌な夢見ちまったナ……クソ、気持ち悪い……」
「……イリスさん？」
「――メニャーニャ？　悪い、起こしちまったカ？」
「ああ、いえ……随分、お辛そうですね」
「まあナ……よっぽどトラウマになってやがるらしい」
「……客観的に見れば自業自得、ですよね」
「ハハ、手厳しいナ。ま、上手く行ってたら王国丸ごと乗っ取れてたわけだが……失敗した分のダメージも相当デカかった、ってことカナ」

「……ですが、イリスさんでもそうして悪夢にうなされることは、あるのですね」
「そりゃ、私だって生き物だからナ――オマエは私のことを超常的な存在と見ているようだが」
「……推論に過ぎませんし、イリスさんも明言は避けたじゃありませんか」
「だが、今の私は……オマエの推論とはまさに裏腹ってやつだヨ。私だってごく普通に、笑ったり泣いたり怒ったり、こうして悪夢に怯えたりするのサ」
「……説得力ありますね。それに――」

　――ぎゅっ。

「……メニャーニャ？」
「他人事に思えなくなってきました」
「ワット？」
「私も、悪夢にうなされることがありますから」
「……ああ、そうか……まるっきり逆だナ。以前は私がオマエを慰めていたのに」
「壊してあげましょうか？」
「ノーサンキュー。主が従者に壊されちゃ、格好がつかネェヨ……だけど」

　――ぎゅうっ。

「オマエの感触だけ、くれヨ。今は」
「……わかりました。お好きにどうぞ」
「サンキュー、メニャーニャ」
「もちつもたれつ……でしょうか」
「かもナ」

「……今度は良い夢を。おやすみなさい、イリスさん」
「グッナイ、メニャーニャ。ハブアナイスドリーム」