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タイトルどおり、pixivなどで書いたざくアクSSの保管場所です。 内容に差異はありませんが、ショートショートにまとめられていた話などは細かく分けられています。
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マオ、ミアラージュ。
そういえばあるアイテムを通してマオちゃんとラージュ家には意外な接点があることに気がついたのです。
らんだむダンジョンのネタバレもありますので注意。

+ + + + + + + + + +

「……古神交霊術、か。ふーむ」
「いきなり話を聞かせてくれなんて、何がそんなに興味を引くのかしら?」
「いや、突然ですまぬな、ミアラージュ。しばらくわしの話に付き合ってもらえるかな?」
「まあ、それは構わないけど。こちらとしてもマオちゃんの話は興味深いことが多いしね」
「感謝するぞ。さて、何が興味を引くかといえば、きっかけは技の名前じゃな。ヘルラージュが使うのが禍神降ろし、ミアラージュは魔神降ろし、二人合わされば魔王降ろしというものじゃったな」
「そうね。その身に人ならざるものを降ろして、一瞬だけ対象者を超強化する、ラージュ家の秘伝の技よ」
「秘伝か……しかしじゃな、ミアラージュ。実はこのうち、禍神降ろしについては、わしの故郷にも使い手が居るのじゃよ」
「なんですって?」
「シズナというんじゃがな……MPはかなり喰うようじゃが、その気になれば連続で行使することも可能なようじゃ」
「……面白くない話だわ、そんなにいとも簡単に使われるなんて」
「まあ、シズナの能力ははっきり言って人間の枠を超えておる……いや、どんな枠にも嵌められそうにないほどぶっ飛んでおるからのう。魔王たるわしでさえ、戦慄させられっぱなしなのじゃよ……」
「トンデモ人間ってことね……」
「とはいえ――最初から使えたわけではなく、習得にあたってはあるアイテムの記憶が必要だったそうなんじゃが……ちょうどこちらの世界でも、こんなものが見つかっておるのう」
「そのお面は……狗鬼灯キキョウね?」
「うむ。わしの故郷のダンジョンからも同じものが見つかっての――もともとはラージュ家と似たような、物の怪の力をその身に降ろして戦う退治屋姉妹の、姉が着けておったお面だそうじゃ」
「へえ……でもルーツは違ってそうね」
「故郷でも見たお面を見つけて、そういえばこっちの世界にも似た技を使う者がおったなということで、話を聞いてみたくなったんじゃが……不快にさせたならすまんのう」
「まあ、さすがにプライドの問題もあるしね。私はこの秘術を極めるために命まで落としているし、ヘルだってつらい思いをしながらもちゃんと身につけている。ラージュの名を背負う者として、私達はこの秘術に懸けていると言ってもいい。だから正直言って面白い話ではないのだけど……」
「ふーむ……」
「――でも、マオちゃんの故郷に同じ術を使える人がいるというのは事実だし、所縁のあるアイテムの存在もあって思い出さずにはいられなかったってことよね。そのことまで否定するつもりはないわ」
「うむ、そう言ってもらえるととても助かる。それに、このお面を見ると他にもいろいろと思い出すことがあるし、せっかくじゃからもう少し付き合ってはもらえんじゃろうか?」
「ええ、私でよければね?」
「ありがとう……と言いつつ、しばらくはなかなか暗い話が続くのじゃが」
「いや、何よそれ。あんまりひどいとキャンセルするわよ?」
「まあ、少し辛抱しておくれ。さて、このお面の持ち主である退治屋姉妹についてなんじゃが、ある時、仕事で大きな失敗をして信用を失墜させてしまったがために、国を追われる羽目になったそうじゃ」
「うーん、ヘビーね……」
「姉妹は再び力を取り戻すために、あるものに目をつけた。強大な魔物を封印しているという、殺生石というものに」
「あ、なんとなくオチが読めるわ……」
「まあ、案の定。その強大な魔物を操ろうと目論んだんじゃが、封印を解いた余波で二人とも消滅してしまいおった。姉が着けておったこのお面を残して、な」
「魔物の姿を見ることすら叶わなかったというわけね……」
「そればかりか魔物が解き放たれるだけという最悪の結果に終わったわけじゃが、な」
「その魔物はどうなったのかしら?」
「うむ、実はここからがわしの思い出話に深く関わる部分でな――解放されたのは、わしの故郷の世界における六大魔物が一柱、九尾という存在じゃ」
「って、六魔!? 超がつく大物じゃないの!!」
「そう、わしと同格の存在……なのじゃが、実はこの九尾こそが、わしを育ててくれた存在でもあるのじゃよ」
「えっ?」
「退治屋姉妹に封印を解かれてからというもの、長い間暗躍しておったようじゃが……その過程で、先代魔王の卵から生まれたわしを、九尾が拾った。その際には人間の女性の姿を取り、このお面を被るのではなく頭に着けて、コノハと名乗っておったのじゃ」
「……なんだか回りくどそうな感じがするわね」
「もともとコノハは魔物の本能を嫌い、人間社会に溶け込んで支配するやり方を好んでおったそうじゃ」
「魔物の本能?」
「強い飢えのもと、他の生命を喰らい尽くす本能……実際、力を蓄えるために他の魔物を喰らうということもしておったようじゃな。しかしその傍ら、わしの面倒を見てくれたり、美味しい料理をたくさん作ってくれたりもした」
「……随分と人間くさいのね、九尾という魔物は」
「そうじゃな。もともとはわしのことも、自分自身の目的のために使い捨てるつもりではあったらしく、実際にそのおかげでわしは死にかけたんじゃが……それにしては、とても優しかった」
「いや、優しくしたのは警戒心を緩めさせるためなんじゃないの?」
「わし自身はどうしてもそう思えなくてな……コノハが作ってくれた料理の味は、今でも忘れられずにいる。……ちょっと余談になるんじゃが」
「余談?」
「わしの世界に存在するブロッコリー村という場所にな、おかゆミルクという特産品があるのじゃよ。お米をとことん煮詰めて、ミルクを加えて作るやつなんじゃが」
「ああ、うん、わかりやすくイメージできるわね」
「最初にコノハが作ってくれたやつがとても美味しくて、すっかり大好物になってしまったんじゃが……コノハを討ったあと、ブロ村に買いに行って飲んでみたら、何か違う気がしてな。コノハのおかゆミルクが恋しくて、気がつけば泣いていたんじゃよ」
「……なるほどね。マオちゃんが九尾――いや、コノハさんを慕う気持ち、なんとなくわかった気がするわ。討ったというのは、その手で?」
「うむ、わしの命を繋いでくれたアナンタ達四人とともにな。……ただ、後でわかったんじゃが、本来のコノハの計画は、魔王たるわし、そしてコノハこと九尾自身も含めて、六大魔物すべてをアナンタ達四人組に討たせることが目的だったようなんじゃ」
「……最初から討たれるつもりでいた、ということなの?」
「むろん、互いに全力で戦うことが前提ではあるがな。今にして思えば、自分自身に憎しみを向けさせるために、わしを使い捨てて死に追いやるような冷酷な振る舞いをしていたのかもしれん」
「でも、マオちゃんから見ればそれでもところどころ、コノハさんの優しさが感じられる場面があったということね?」
「まあ、わしの推測でしかないし、真実はコノハしか知らんことなんじゃがな。墓まで持っていったことじゃから、無理に詮索するつもりもないんじゃが――それでも、コノハの優しさは一生忘れないようにしたいのじゃ」
「……六魔と言えども、恐ろしいばかりの存在ではないということね。叶うなら、会ってお話をしてみたかったかも」
「何がどう転ぶかわからんものじゃな。地竜にしても、わしの世界では凶暴極まりないイメージしか無かった存在なのじゃが、ハグレ王国ではなんとも愛らしいマスコットと化しておるではないか」
「マオちゃんも負けず劣らずって感じよね……あ、ぎゅってしてもいい?」
「な、なんじゃいきなり……一瞬で目の色が変わりおったぞ?」
「いいじゃない、ちょっとくらいー。ベロベロスも地竜ちゃんも、私を見ると逃げちゃうから、ぬいぐるみで我慢せざるを得ないのよぅ……」
「わし、別にもふもふはしておらんぞ?」
「かわいいは正義よっ!!」
「叫びおった!? ……しょうがないのう。ただ、わしは炎属性で、おぬしは炎には滅法弱いんじゃろ? 扱いには気をつけるんじゃぞー」
「あ、お気遣いどうも。でもぎゅってするくらいなら大丈夫だから」
「やれやれ、お手柔らかに頼むぞー」
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ざくざくアクターズというフリーゲームの二次創作をやっています。ネタが思いつくかどうかは気まぐれなので不定期更新。
主な活動場所はpixivで、この場所はあくまでも保管庫として活用しています。
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