タイトルどおり、pixivなどで書いたざくアクSSの保管場所です。
内容に差異はありませんが、ショートショートにまとめられていた話などは細かく分けられています。
+ + + + + + + + + +
「――メニャーニャ?」
「はわっ!? し、シノブ先輩っ!?」
「どうしたの……というか、何が起こっているの!?」
「な、なんでもありませんっ! 失礼しますっ!」
「無理がありすぎるわよ!? ……でも、そうね。廊下じゃきちんと話ができそうにないわね。とりあえず、あなたの部屋に行きましょうか」
「放っておいてくださいよっ……!」
「駄目よ、今回ばかりは。なぜあなたが黄色いもやをまとっているのか、気になって仕方がないんだから」
「うう……わかりましたよ……」
「…………」
「……シノブ先輩?」
「――メニャーニャ、すごい。あなた、本当にすごいわ!!」
「え、ええっ!?」
「今まで目に見えなかったマナをこうして見えるようにするなんて、すごく画期的よ!? あなたはすごいことを成し遂げたのよ!」
「え、ええー……ちょっと待ってください、すごくむず痒いんですけど……」
「ふふ、あなたは褒められるのが苦手だったわね。でも、この実績は誇っていいことなのよ?」
「そうは言っても、まだ全然、試作段階ですし……それに……」
「……浮かない顔ね? そういえばさっきはすごく思い詰めたというか、恥ずかしそうな表情だったけど」
「……実は……」
「…………」
「……シノブ先輩? ちょっと、またですか……」
「――メニャーニャ。まず、エステルの言ったことは気にしては駄目よ、絶対に」
「ぜ、絶対にって?」
「後輩が実験の成果を披露して得意げにしてるのに、水を差すようなことを言うなんて、さすがにデリカシーが無さ過ぎるわね……それにあなたのことだから、それがきっかけでせっかくの新発明をお蔵入りにしてしまいかねない」
「え、ええ? そんな、大げさな……」
「いいえ、さっきのあなたの様子からすると、悪いけど大げさな話とは言えないわ」
「……先輩、もしかして怒ってます?」
「そうね――ちょっと今からエステルにEXサモンセドナをしてくるわ」
「わあーっ!? 駄目、だめですーっ!! 落ち着いてください先輩!?」
「大丈夫よ、死なない程度には手加減するから」
「手加減どころか+28%のブーストかかってませんか!? あ、アリス女王陛下の剣まで持ってかないでくださいよ!?」
「そうは言っても、メニャーニャが傷ついているのに黙っていられないわ?」
「や、り、す、ぎ、で、すっ!! ……ああもう、とりあえず私も落ち着きますから、先輩もどうか落ち着いてください」
「……メニャーニャがそう言うなら」
「はあ……ええと、それと、ありがとうございます。気を取り直して、研究は続けますので」
「あら、それならよかったわ。私も全面的に協力したいのだけど」
「助かります」
「ヘーイ、なんか騒がしいナ?」
「あら、イリスさん。何かご用ですか?」
「UMAカリーの差し入れに来たんだが……なんだメニャーニャ、黄色いオーラまとってんナ?」
「……オーラではなくてマナです。私の新発明で目に見えるようにした状態なんですよ」
「ニューインベンション? オー、ベリーエキサイティングネ?」
「エステルのせいで危うくお蔵入りになりかけたんですけどね……」
「なんだソリャ。クレイジーヴォイス?」
「ええ、実はかくかくしかじかで」
「……変なトコで敏感なヤツダナ……まあ確かにファッション的に見るならそう見えないことはないが……多分、薬の用途としてはそういうことじゃないんダロ?」
「……用途、についてはどうでしょうか。なにぶん、まだ試作段階なので」
「フム――ちょっと私にもクレヨ。どう使うンダ?」
「ああ、ええと――」
「…………」
「…………」
「……オゥマイゴッド……」
「……ものすごく暗い色、ですね」
「ほんのちょっと青色が混じってるようだけど、かなり黒に近いわね……」
「ドス黒い青ってトコカ……しかもちょっと、部屋を埋め尽くすレベルジャネェカ……? メニャーニャ、シノブ、大丈夫カ?」
「……正直、結構視界が悪いです」
「身体には悪影響はないみたいですが……」
「よくよく考えてみりゃ当たり前の結果なんだが、そういや私って実質、闇の塊みたいなモンだったナ……」
「他人事みたいに言わないでくださいよ」
「いや、しかし、こうして目の当たりにすると自分でもビックリするくらいインパクトあるナ、ってナ……私でコレなんだから、今の段階じゃマリオンやマオあたりに使ってもまずいんジャネェカ?」
「……そうですね。あの二人も、とてつもない力を秘めていますから」
「まあ、今後の課題ってヤツダナ。ついでに提案だが、効果を二通りに分けたほうが良いと思うゼ」
「と言いますと?」
「ざっくり言ヤァ、性質測定と物量測定に分けろってコトダナ。性質測定の場合はまあ、炎氷雷風地水の六属性をベースにして、色だけ感知して一定の量だけ放出するように。物量測定の場合はどんな奴でも単一色で、代わりに放出量で差がつくように、ってナ――両方をひとつの薬でやろうとすると、私みたいなケースが出てきちまうかもしれん」
「……なるほど。貴重なご意見、ありがとうございます」
「ハハ、言うだけなら簡単ダ。私は難しいことは分かんネェカラ、体験して口を出すくらいしか出来ネェケドヨ――アー、どうせなら参謀サンと道具屋にも協力してもらえヨ。アイツラ薬のスペシャリストダロ?」
「そうですね……そのほうが捗りそうですし、私個人としてもローズマリーさんが参加してくれると心強いです」
「先輩、それだとベル君は頼りにならないみたいじゃないですか」
「ハハ、メニャーニャ、ナイスフォロー。あー、ところでコレ、どれくらいで消えるんダ?」
「……そういえばメニャーニャのマナの色はもう無くなっているわね」
「となると……おおよそ十分か、長くても二十分程度ではないでしょうか」
「オーケー。じゃ、ちょっとしばらく部屋の隅でじっとしとくとするゼ……あー、それと、後でちょっとその試供品分けてクレヨ」
「ええ? ……何に使うんです?」
「いや、ちょっとナ。エステルにお灸を据える方法を思いついたんでナ」
「……それは私がEXサモンセドナで」
「ノー。そういう力技じゃなくてダナ?」
「……シノブさん、ここは任せましょう。今のイリス様は実に悪魔的な笑顔でいらっしゃるので」
「クク、サンキューメニャーニャ。ま、期待しとくとイイサ」
「――わざわざ呼び出すなんて、何の用よ、イリス」
「クク、思い当たる節は無いカ?」
「……あんた絡みでは無いはずだけど」
「そうだナァ。しかし、メニャーニャ絡みでなら、あるはずダゼ?」
「はあ? ……あ、もしかして……いや、けどあれは謝ったし、邪魔しちゃ悪いと思ってるし……」
「ゴメンで済んだら警察はイラネェンダヨ」
「あんたが言う台詞じゃないわよ!? え、ちょ、もしかしてイリス、怒ってんの!?」
「――私の従者がいたく傷ついたみたいだからナァ。エステル、ユーと言えど、そう簡単には許せないゼ?」
「え、いや、だからって――うわぁ!?」
――すりっ。
「……ット」
「え、ちょ、な、何なのよ……いきなり抱き寄せたかと思ったら、すぐ離れて……」
「…………」
「だから何なのよ……何か言いなさいよ」
「………………」
「なんで黙ってんだよ!? 何か言えってーの!?」
「……プッ」
「えっ」
「クッ、ククッ、クヒヒッ……ヒハッ……ヒャハハハハハハハッ!!!!」
「え、ええー!? なんでいきなりそんな馬鹿笑いしてんの!?」
「ヒッ、ヒヒッ、ヒー、ヒー……予測可能だが回避不可能ってヤツカ……腹イテェ……」
「わけがわかんないわよ!? あんたいったい何したのよ!?」
「ヒヒッ……何したって、ユー、今のユーの周りを見てみろヨ……」
「へっ?」
「――いやあああああああああああああああああああああああああっ!!?!?!?」
「クッ、ククッ……ナイススクリーム……」
「ちょ、ま、ええー!!? 私のまわりがピンク色なんだけどー!!?」
「清々しいほど予想通りなのに、こんなに面白い絵面だとはナー……」
「こ、これもしかしなくてもマナミエールよね!? ちょ、ま、消してえええええええ!!?」
「残念だがしばらくは消えネェヨー。さーびすぴんく、えろぴんくー♪ オマエのマーナはぴんくいろー♪」
「歌うなああああああああああああああああっ!!?!?」
「――ちょっとは落ち着いたカ?」
「落ち着くわけないじゃない……びえっ……」
「泣くなヨ……ま、自業自得っていうか、実のところ、オマエがそれだけ悶絶するのって、オマエ自身に理由があるんだゼ?」
「なによそれ……」
「――マナミエールの主目的って、文字通りマナを目に見えるようにするためのモノであってダナ」
「……見え方が問題なんじゃないの。体臭が漂ってるように見えるんだもん……」
「だが、どんな見え方であっても『見えるようになった』って事実がまず重要なんだヨ。シノブもその辺を絶賛してたゼ? 第一、オマエはマナが目に見えるようになったっていうことの意義よりも、ファッションセンスのほうが先んじすぎてるナ……だからこそ今、恥ずかしい思いをしてるわけダ」
「……ううー……」
「メンドクセェから私のほうから言っちまうが、マナミエールが実用レベルになったなら、健康診断とか召喚士適性検査とか、そういうのに応用していけるダロ?」
「うあー、そっかあ……それってメニャーニャやシノブはもちろん、私が思いついてなきゃいけない発想じゃん……」
「オマエだって召喚士ダロ、まったく――そんな画期的な発明を、危うくオマエは潰しかけたんだゾ? メニャーニャの性格からすると有り得ない話でもないからナ」
「わかった……あんたの怒りもだけど、メニャーニャも怒ってるよな……」
「あとシノブもナ。EXサモンセドナぶち込んでやるって息巻いてたゾ」
「ひえぇ!?」
「ま、謝る気になったんなら、私が後ろ盾になってやるから、早いほうがいいゾ?」
「……あー、でもちょっと待って。このピンク、いつ消えるの?」
「ンー、まだしばらくは消えないと思うが、だいたい効果が出てから十分から二十分って言ってたナ」
「なるほどねー……ごめん、ちょっと消えるまで一緒にいてもらっていい?」
「オーケー。ま、しっかり反省するんだナ」
「…………」
「……茶色、ですね。シノブ先輩」
「単純に、茶色と言うと大地属性のイメージなのだけど……私は違うわね」
「炎が赤、氷が青、雷が黄色として、シノブ先輩はその三属性を全部使えるわけですから……全部混ざってその色になったんでしょうか」
「イリスさんほどではないけど、私も例外中の例外というわけね……メニャーニャは三属性の防御を備えているけれど、色は黄色だったわよね?」
「まあ、私は雷に偏っていますので……」
「仮にローズマリーさんだったら紫になるのかしら?」
「あの人は炎と氷の二属性ですよね」
「イリスさんは六属性をベースにと言ったけれど、性質測定の薬作りはなかなか難航しそうね……おそらくは無属性や回復属性の人も居るだろうし」
「……まあ、やってみせますよ。まだ第一歩を踏み出したに過ぎませんし、心強いサポートもありますので」
「ふふ、そうやって頼ってもらえるのは私としても嬉しいし、成長したわね、メニャーニャ」
「やめてください撫でないでください」
「……ごめんなさい、つい。にゃーにゃちゃんを思い出しちゃって」
「からかうのもやめてもらえませんかね!?」
「あ、えっと、そういうつもりじゃないんだけど……」
「ああもう、話が進みませんっ! 今日はもう研究って気分じゃないので寝ますっ!」
「あ、ええっと……じゃあ、私も一緒に。駄目かしら?」
「ぐっ……! ご勝手にどうぞ!」
「ふふ、そうさせてもらうわ。良い夢見ましょうね、メニャーニャ?」
「……はい」
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こうと
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性別:
男性
自己紹介:
ざくざくアクターズというフリーゲームの二次創作をやっています。ネタが思いつくかどうかは気まぐれなので不定期更新。
主な活動場所はpixivで、この場所はあくまでも保管庫として活用しています。
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