タイトルどおり、pixivなどで書いたざくアクSSの保管場所です。
内容に差異はありませんが、ショートショートにまとめられていた話などは細かく分けられています。
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◆新参天狗と古参参謀◆
「ふうん……最初は結構地道だったんだな……」
「――おや、クラマ君。図書館にいるとは珍しいね」
「ああ、ローズマリーさん、ちぃっす。いや、俺、ハグレ王国じゃ新参っすから。王国自体がかなり名が知られてる時期に加入したもんですから、成り立ちとか全然知らないんすよね」
「そういえば、天界でも噂になっていたようだったけど」
「ええ、福の神様が力を貸しているというのもあってですけど、結構有名なもんで……だから、興ったきっかけというのを聞いた時はびっくりしたんすよ?」
「ああ、デーリッチと私で名乗ったというくだりかい?」
「そんなちっぽけなきっかけから、どうしてここまでの大勢力になったのかってのに、俄然興味が湧いたもんで……そしたら、ちょうどいい読み物があるじゃないですか」
「あー、それ……私が書いた回想録かい? なんだか恥ずかしいな」
「いやいや、実際わかりやすいし、順を追って読みやすいんで、特に俺みたいな新参者には助かりますよ、こういうのは……まだ興って短いけど、まさに『歴史』を読んでるって感じがしますよ」
「はは、まあ褒めてもらえるのはありがたいかな。書いた甲斐があるってものさ」
「最初は地道な仲間集めから始まって、その最中でいろんな事件にも触れて……ヘンテ鉱山の召喚装置やらエステルさんの事件やら、始めの頃だけでも結構いろんな出来事があるんすね」
「懐かしく思えるなぁ……一人ひとり、それぞれの事情を抱えているってことさ」
「それでも、そういう人間が一人ずつ集まっていって、規模が大きくなりだしたところで……そのあたりから色々と洒落にならない事態が起こり出してますね」
「ふうむ。クラマ君としては具体的には?」
「まずはジュリアさんが合流したトゲチーク山の事件とか、あと何といっても妖精王国との戦争ですね。まあ、どっちも被害の大きなギリギリの戦いだったみたいですけど、最終的に跳ね除けたあたり、本格的にハグレ王国も強くなったんだなってのを実感しますよ」
「……失ったものも大きかったけど、得るものもあった。そうだと信じたいよ」
「良いことばかりじゃないんすね……まあ、新参の俺から見ても、辛い道だけど無駄じゃなかったって言わせてくださいよ。その結果も、今の王国の姿を作っているってことですから」
「はは、ありがとう。他に気になるところはあるかい?」
「いやまあ、他にっていうか気になるところだらけですけどね。デーリッチが異世界に飛ばされた事件だったり、帝都防衛戦やタンポポ山の出来事だったり、東の世界樹だったりハグレ大祭りだったり……もう、このあたりからは、ハグレ王国はすっかり世界に注目される存在になってるんだなって」
「……そのあたりは私としてもかなり動揺が酷かった時期でもあるけれど」
「異世界編とシノブさんが王国に来訪したあたりはそれが出てますね。……ローズマリーさんは王国内じゃ大事な存在だけど、かといってローズマリーさん一人で持ってるわけでもない――絶妙なバランスってのを感じますよ」
「……雪乃は故郷に帰るかもしれなかった。実際に一度帰って、家族とも話をしたらしいのだけど、それでも最終的にはこちらの世界を選んでくれた。家族にもこの素敵な世界を見せるんだ、って言ってくれた。……たぶん、その時が一番『王国を興してよかった』って思った気がする」
「……将来的に別世界との行き来がもっと気軽に出来るようになっても、ハグレ王国って居場所は無くてはならないものになる、ってことですかね」
「はは、間違いなくそうなる、なんて大層なことは言えないけどね。でも、そう信じてやっていきたいな」
「謙虚っすねえ。……ところで、俺としてはもう一つ注目したいところが」
「何かな?」
「いや、ポッコがハグレ王国入りするきっかけのエピソードなんすけど……これ、実はめっちゃ壮絶なんすね……」
「……ああ。マクスウェルの陰謀が明るみに出た事件だね」
「ドーラさんは危機一髪だったようですが……結局、帝都の騎士団にはかなり犠牲が出たみたいっすね。アイツにはえらくハードな出来事だったんじゃないっすか?」
「……そうだね。あんな事は、二度とあってはならない。ポッコちゃんが――いや、ポッコ様が乗り越えてくれたのが救いではあるけれど……」
「……そうっすね。マクスウェルと言やあ、先の巨大魔物戦争の仕掛け人の中心でもあったんすよね。丁度そのあたりから俺もハグレ王国に加入して……まあ、戦争の時は酷い目に遭いましたが」
「クラマ君も含めて、皆、よく頑張ったよ。まさに世界の危機だったが、皆の力で跳ね除けたんだ。……ただ、回想録には書いていないけれど、マクスウェルの最期には考えさせられるところがある」
「何すか?」
「バイオ鎧に取り込まれて激痛に悲鳴を上げながら、幼児退行を起こしていたんだけど……その時に垣間見えた、彼の過去が、ね――純真に召喚士を夢見ていたのに、周りから認めてもらえなくて、徐々に歪んでいって、最終的にああいう存在になってしまった、ように見える」
「……だからって、やらかした出来事は決して許されない。いや、ローズマリーさんだって、そこはわかった上で言ってるんすよね?」
「もちろん。ただ、マクスウェルの言動にはところどころ、コンプレックスというか劣等感というか、そういうものを感じて……私も、もしデーリッチと出会っていなかったら、力なく野垂れ死んでいたかもしれないし――あるいは、マクスウェルのような存在になっていたかもしれない」
「……ローズマリーさんがそうなるなんて、とても想像できないっすけどね」
「はは、まあ私がここに至るまでも、また色々あったってことさ」
「……勉強になるっす、非常に」
「嬉しいことを言ってくれるね。ただ、私もまだまだ勉強しなきゃいけないなあ……」
「あー、大学で教えてる立場でもあるから、ですか?」
「それもあるけど、私自身も足りないものが多いから、っていうのが一番だね。怠っちゃいけないんだ」
「んー、でも根詰めすぎもよくないっすからね? たまには息抜きもしてくださいよ?」
「はは、善処するよ」
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ざくざくアクターズというフリーゲームの二次創作をやっています。ネタが思いつくかどうかは気まぐれなので不定期更新。
主な活動場所はpixivで、この場所はあくまでも保管庫として活用しています。
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