タイトルどおり、pixivなどで書いたざくアクSSの保管場所です。
内容に差異はありませんが、ショートショートにまとめられていた話などは細かく分けられています。
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もはや自分に未来なんてない、そんなことはとっくにわかっていた。
この時計塔の深部に逃げ込まざるを得なくなった時点で。
太古の森というテロ集団をけしかけて、大勢の巨大魔物を引き連れて帝都へと侵攻する。上手くいっていれば、帝都はそのまま滅ぼせていた。すべての邪魔者を消せていたはずだった。
だが、現実は上手く行かなかった。カラカラ砂漠での迎撃に遭い、巨大魔物どもが完全な力を発揮できないまま次々と撃破されていった。惜しいところまでは行ったようだが、結局は返り討ちに遭った。
そのうえ、ハグレ王国の別働隊がこの場所を嗅ぎ付け、残ったこちら側の勢力を討とうと迫ってきている。
ここまでの道中にも巨大魔物はいるはずだが、無理矢理呼んだ奴らはこちらの制御下にはない。まとめてけしかけられるならともかく、一体ずつでは連中の相手にはならないだろう――間違いなく、連中は自分の元までやってくる。
迎え撃つしかない。
太古の森の人間から奪った起動キーを握り締めて、走る。
最後の作品を動かすために必要なもの――ここに至るまでにどれだけの人間を犠牲にしたのか、数えるのも面倒なほどだった。
東の世界樹で帝都の騎士団の人間を実験の生贄にし、この場でももともと起動キーを持っていた太古の森の人間を殺し、奪った。
ひとりくらい残しておけばよかったと少し後悔したが、意に沿わないのでは仕方ない。もはや自分の意に沿うのは世界で自分自身しかいないのだろう。
時計塔地下の最深部、部屋の中央に浮かぶ白い球体。
かつて誰もが怖れた魔道の巨人が詰まっているもの。輝きは随分と弱々しくなっており、目に見えて限界が近づいているのが分かる。
巨大魔物を召喚するために散々利用させてもらったが、当の魔道の巨人も既にボロボロなのだろう。今ならこの自分でも打ちのめせそうな気がする。この球体から引きずり出して、ズタズタに引き裂いてやりたい気持ちに駆られる。
だが、ここまで弱々しい状態になったとしても、この球体はまだ必要だった。最後の抵抗のために、干からびるまで絞り取ってやる。それもまた、復讐としては一興だ。
球体を通り過ぎ、部屋のさらに奥へと進む。
巨大な青い鎧が鎮座している。
純粋な性能で言えば、特務召喚士官殿の所有する魔導兵器をも凌ぐだろう。だがこれも東の世界樹で騎士団の人間に着せたバイオ鎧の一種であり、根本的な欠陥が解決されていない。
一度乗り込んだが最後、猛烈な勢いで周囲のマナを喰らい、果ては搭乗者の命をも取り込んでしまう。
いくらこの場所が魔道の巨人の力によりマナで満たされているとはいえ、そう長くは保たないだろう。この鎧の力を持ってしても、簡単に倒せるような連中ではない。
改めて実感する――俺にはもう、未来などないのだ。
それならそれで、もはや命を惜しむ気もなかった。
何もせずに無抵抗で終わりたくはない。
この力で一矢を報いる。
力を見せつけ、この俺の存在を、奴らに、世界に、鮮明に刻み付けてやるのだ。
もうすぐハグレ王国の奴らもやってくる。
その中には魔道の巨人シノブや特務召喚士官メニャーニャと親しい、ゆえに目障りな炎の召喚士エステルの姿もある。
この一瞬の時だけでも、そいつらより俺の方が上位の存在なのだと、この戦いで証明してやるのだ。
さあ、迎え撃ってやる。
俺の命とシノブの命を吸い上げて、お前はどこまでの性能を見せてくれるんだ?
そして世界よ、しっかりとその目に焼き付けるがいいさ。
こいつが俺の生き様だ――
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自己紹介:
ざくざくアクターズというフリーゲームの二次創作をやっています。ネタが思いつくかどうかは気まぐれなので不定期更新。
主な活動場所はpixivで、この場所はあくまでも保管庫として活用しています。
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