デーリッチ、マオ、ローズマリー。
前２つのSSと同様のお題に加えて、追加で「プリン」という要素を加えたSSです。

「みんなおいでー！　今日はプリン二倍デーだよー！」
「待ってましたでちー！！　プリンはどこー！？」
「こら、慌てないで。ちゃんとデーリッチの分も、みんなの分も、いつもどおり用意してあるから」
「やったー！！」



「待ていっ！！　デーリッチ、おぬしに勝負を申し込むぞっ！！」



「ま、マオちゃん！？　いきなり何でちか！？」
「マオちゃん、どうしたの。マオちゃんの分のプリンも用意してあるんだけど」
「それだけで足りるものか！　これからデーリッチとわしで勝負するのじゃ！　勝者が敗者のプリンをすべて頂く！　単純明快！！」
「なんでちとー！？　何故にそんな理不尽な勝負を挑もうとしてるんでちか！？」
「マオちゃん、欲張りを言うとマオちゃんのプリンだけ半分になるよ？」
「たわけっ！　大魔王が欲張りでなくてなんとするっ！！　仮にここでわしの分のプリンが没収になったなら、ますますもってデーリッチから奪わねばならんっ！　勝負じゃ勝負じゃっ！！」
「なんでそんなに気合が入ってるの……下手すると魔王タワーの時以上の気張りっぷりだなぁ」
「どうした！？　ハグレ王国の国王ともあろう者が、このわしから逃げるのか！？　所詮はスリルよりも安定を求めるヘタレ国王なのかー！？」
「むむむっ……そうまで言われちゃ、こっちも引くわけにはいかないでちね！　ローズマリー、受けさせてくれでち！」
「いいのかなぁ……君が負けても追加のプリンはあげないよ？」
「構わんでちっ！　むしろマオちゃんを後悔させてやるでちよっ！！」
「ふははは、受ける気になったか！　では恨みっこなしのジャンケン勝負じゃ！」
「うわ、シンプルすぎる……」
「むしろわかりやすくていいでち！　じゃあいくでちよ、マオちゃん！？」
「いくぞっ！　せぇーのっ！！」



「じゃーんけーん、ぽーん！！」



「――ふうううぅぅぅぅ……」
「あいこだったでちね……」
「ふふふ、この緊張感、たまらぬわい……」
「なにこの無駄にやたらとピリピリした緊張感……決戦のときもここまでだったっけ？」
「もう一回、いくでちよっ！？」
「せぇーのっ！！！！」



「じゃーんけーん、ぽーん！！」



「――ぐわああああああああああああああああ！！！？？」
「やったでちー！！　デーリッチの勝ちぃー！！」
「マオちゃん吹っ飛んじゃったよ……なんだこの茶番……」
「ふふん、じゃあマオちゃんのプリンはデーリッチが頂いていくでちよ！　そういう約束だったでちからね！」
「うう、わかっておるぅ……大魔王に二言はないぃ……」
「涙目じゃないの。そんな風になるなら勝負なんてやめとけばよかったのに」
「一回やってみたかったのじゃあ……」
「今回はデーリッチが勝負を受けてくれたからまだよかったけど、他の子に対して同じことをやってたら、私ももっときつく怒ってたかもしれないよ？」
「そんなことを恐れて勝負など挑めぬわい……自分で仕掛けて玉砕したのじゃから、最後まで我慢するぞ……」
「――マオちゃんマオちゃん、プリン一個あげるでち」
「なぬ！？　い、いや、勝者からの施しを受けるなど……！」
「この一個をあげても、まだデーリッチのほうが取り分が多いでち。勝負が無意味になるわけじゃないし、自分のプリンをどうしようと自由でちよね？」
「た、確かにそうじゃが……」
「せっかくのプリン二倍デーなんでちから、マオちゃんも落ち込みっぱなしで終わってほしくないでち。あー、でもデーリッチ食いしん坊だからー、早くしないと気が変わって、やっぱり食べちゃうかもぉー？」
「む、むむむっ……それなら頂くことにするぞっ！　感謝なんてせんからな、ふんっ！」
「やれやれ……これでいいのかなぁ。まあ、デーリッチがいいのなら」
「ふふん、大魔王にも慈悲を見せる国王の器ってやつでち！」
「自分で言わなきゃもっとかっこいいのになぁ……」
「ぐぬぬ……今回は完敗じゃったが、次こそは……！」
「あ、マオちゃん。相手が嫌がった場合は素直に引き下がるようにね？」
「あっはい。気ヲツケマス」
「マオちゃん、片言になってるでちよ……」